<定番の自己啓発法であるマインドフルネスには経済的・社会的な苦痛を緩和する効果も期待できる?>
「マインドフルネス」は、学問の世界でもすっかり市民権を得た感がある。
全米マインドフルネス研究協会によれば、マインドフルネスをテーマにした学術誌の論文の本数は、1980年代には年間1桁だったが、2019年には1200本を超えた。扱われている題材は「職場のマインドフルネス」「学校のマインドフルネス」「刑務所のマインドフルネス」などさまざまだ。
マインドフルネスの考え方を欧米に広めたジョン・カバットジンによれば、マインドフルネスとは「意識的に、そして好奇心と共感の気持ちを持って、その瞬間その瞬間に注意を払うこと」。セラピーとして実践する場合は、瞑想を行い、自分の内面に意識を集中させ、浮かび上がる思考や感情や感覚をありのままに受け止めることを目指す。
マインドフルネス研究は、不適切な統計処理や、信頼性の乏しい自己申告に頼った調査法などを理由に批判されることも多い。それでも最近の研究によれば、マインドフルネスの実践と、精神疾患や薬物乱用の減少、抑鬱や不安やストレスの大幅な改善との間に相関関係が見られている。
最近は、マインドフルネスを個人だけでなく、コミュニティー単位で実践しようという動きも出てきている。例えば、サンフランシスコ州立大学のロナルド・パーサー教授(経営学)とニューヨーク市立大学ブルックリン校のデービッド・フォーブス准教授(スクールカウンセリング)は、「批判的ソーシャルマインドフルネス」というアプローチを提唱している。
具体的には、コミュニティーのメンバーが集まり、マインドフルネスの手法を使って、自分たちのコミュニティー全体に不満足な状況を生んでいる社会的・政治的原因を話し合うべきだという。「子供たちに自らの苦しみを意識しないよう促す一方で、その苦しみを生み出している社会的・経済的・政治的な要素を放置すれば、長い目で見て子供たちを救えない」と、フォーブスは語っている。
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April 24, 2020 at 02:40PM
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マインドフルネスの効果と限界 低所得層のコミュニティにはリスクが残る... - Newsweekjapan
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