エムアンドエー駆け込み寺No25 売却前後のコミュニティの変化 - JIJICO

過日、私の出身地山形県米沢市で楽しい一夜を過ごしました。20年前のことでしたが、私が初代会長を務めた、元県議会議長後援会の同窓会でした。当時はまだ会社売却など考えることもなく推移していました。後援会の会長を務めさせていただいたくらいですから、会社は順調な業績で推移していました。

当時は、後援会会長、米沢青年会議所（米沢JC）OB活動、ロータリークラブ幹事，商工会議所議員等々、その他、地元では様々な公職に付いていました。仕事を介した様々なコミュニティに属し、連日多忙を極めていました。

社長という役職についていると部下も、取引先も、経営者に群がりながら様々なコミュニティを形成していますので自ら率先してコミュニティに飛びこんでいく必要がありません。

業界のコミュニティ、取引先のコミュニティ、仕入業者のコミュニティ、顧客のコミュニティ、そして社内のあらゆるコミュニティ等々引く手あまたのコミュニティがあるはずです。

そして、コミュニティは様々な形で存在しています。ゴルフや様々な会合、さらには懇親会や宴席等々引手あまたです。

しかし、これらのコミュニティは全て仕事に関わるコミュニティです。売却後、経営者という立場からリタイアし、その職位から離れた時、コミュニティで培ってきた人間関係が希薄となり、時間の経過と共に遠い存在となってしまいます。社長としての権力がなくなるためか、元経営者をとり巻いていたコミュニティの人々は、「月とスッポン」のように無くなってしまう危惧があります。

全てがそうとは言い切れませんが、社長在位中の人間関係において、相手は社長の魅力ではなく、社長という役職で付き合っていると考えたほうがいいかもしれません。中小企業の社長も、大会社の社長もリタイアしてしまえば「ただの人」です。波が引いていくように目の前からとり巻きが引いていきます。

今、事業引継ぎを検討している経営者の多くは、「モーレツ社員」と呼ばれていた人達でしょう。自分の休みを犠牲にしながら仕事一筋の連日。自社の発展が夢や目的であり、生き甲斐になっていたはずです。

しかし、自社売却と共に仕事を介したコミュニティを失うと、時間の経過と共に部下や同僚からも見放されるようになり、そしてある日、「自分は何のために生きてきたのか」と自問自答し、人生をむなしく感じるようになってしまうかもしれません。

そうならないためにも、売却を考える中小企業経営者は、売却を終着点とせずに、売却後の余生を自力で切り開いていくための人生計画を作っておく必要があります。

現職の社長時は、コミュニティに無関心でも多くの関わりがあります。しかし、リタイア後は、待っていてもお声がかかりません。自ら飛び込んでいく行動が重要です。

※マイベストプロ宮城での「エムアンドエー駆け込み寺」投稿は
毎月5日、10日、15日、20日、25日、30日を予定しています。
これ以外にも「番外編」として不定期の投稿もありますのでご笑読下さい。

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April 10, 2020 at 12:57PM
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