コミュニティの仕掛け人が明かした”世話焼き”の必要性
いまや企業にとって必須機能となっている「コミュニティ」。顧客や消費者がプロダクトの熱心なファンになれば、企業はぐんぐん成長できます。しかし、突然「コミュニティをつくる」といっても、一体、何から始めればいいのでしょうか。『ファンをはぐくみ事業を成長させる「コミュニティ」づくりの教科書』の著者が、コミュニティづくりに成功している人々のもとを訪れて、その秘訣を聞き出します。今回話を聞くのは、北海道の札幌を舞台にカンファレンスや展示、イベント、交流、実証実験などを展開し、新しい時代の社会や未来をつくるコンベンション「No Maps」事務局長の廣瀬岳史さん。札幌の街を舞台に、実に2万5000人を集める大規模イベントを開催。成功の秘訣は何だったのか、話を聞いた(今回はその前編)。
河原あずさん(以下、河原):ここ数年、神戸や福岡、沖縄など、地域のコミュニティづくりが活況です。今回、お話を伺う廣瀬さんは、北海道の札幌を舞台にカンファレンスや展示、イベント、交流、実証実験などを展開し、新しい時代の社会や未来をつくるコンベンション「No Maps」の事務局長を務めています。「No Maps」を通して、どのようなコミュニティをつくろうと考えていたのでしょう。
廣瀬岳史さん(以下、廣瀬):私はもともと地域の町づくりに関わる仕事を続けてきました。いわゆる町内会のレベルから北海道全域を巻き込んだレベルまで、さまざまなコミュニティに関わってきたんです。その中で「やはり地方都市は、コミュニティを活性すると新しいムーブメントが誕生する」という信念を持つようになりました。
北海道もその活力を生み出すには、人と人をつなげなくてはいけない。そんな思いが、根底にはありました。
藤田祐司さん(以下、藤田):人と人が交わる場をつくる。そう思っても簡単に動き出せるものではありません。どんなきっかけで、「NoMaps」には関わり始めたのでしょう。
廣瀬:私は以前、札幌市の民間シンクタンクの研究員でした。当時は主に官公庁の業務を担当していて、その仕事の一つが「札幌スタイル」という地域ブランドを立ち上げることだったんです。
「札幌らしさ」を体現する製品を札幌市が認証する制度を運用をするというプロジェクトに、ハマってしまったんですね(笑)。ものすごく面白かったんです。「地域のいいものを発信していこう」という共通のゴールを掲げて、役所と民間企業が向き合いながら、互いにいいところを出し合っていく。
もちろん、いいことばかりではなくて、いろいろな調整も必要です。作り手や企業の目指す方向がバラバラな中で、それを「札幌ブランド」としてまとめていく。いろいろな思いを持つ人たちを立てつつ、ゴールに導いていくという役割に、すごくやりがいを感じたんです。
結局、この仕事はそれから15年がたった今でも続けています。それと平行して、2015年に偶然、現在の「NoMaps」につながる企画を、札幌市の同じ課にいたチームが始めることになったんです。
企画の内容こそ「札幌スタイル」とは違うけれど、内実は行政と民間の間に立って調整する仕事です。そこで事務局ができる人材を探していて、私が指名されたんです。結果的に、シンクタンクとして仕事を受けた後、現在では、個人として事務局に関わり始めました。
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June 19, 2020 at 01:47AM
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