マツダは今期(2023年3月期)の米国販売について、前期(22年3月期)比約2割増で過去最高となる40万台を視野に入れている。米国市場の堅調な需要や同社が取り組んできたブランド力向上の効果に加え、北米向けの新型スポーツタイプ多目的車(SUV)投入による押し上げを見込む。
マツダの青山裕大専務は27日のブルームバーグのインタビューで、インフレや利上げといった環境下でも米国の「車の需要は底堅い」と指摘。今期の米国販売は「40万台に届くぐらい」の水準を見込んでいると明らかにした。前期(22年3月期)は32-33万台程度だという。
新型SUV「CX-50」には現地の顧客の反応から「極めて旺盛な需要がある」とし、販売を押し上げるとみている。ただ今期の販売台数の想定は半導体不足など供給側の制約がない前提で立てられているといい、実現するかについては不透明さも残る。
マツダは最重要と位置付ける米国で商品力の向上や値引きの抑制、販売網の強化などを通じてブランド価値向上に努めてきた。米消費者情報専門誌「コンシューマー・リポート」の自動車ブランドランキングで昨年初の首位を獲得するなど、同社の取り組みは一定の成果を生みつつある。
3月の販売奨励金(インセンティブ)は前年の同時期と比べて半分以下で過去最低レベルとなる1台当たり900ドル(約11万5000円)弱に減少。競合他社と比較しても「一番使っていないレベル」だという。
青山氏は、基本的な商品の競争力以外でも、高級感を演出した新世代店舗の導入や販売員向けの接客力向上に向けたトレーニングなど「地道な取り組みの積み重ねが今ようやく芽を出しつつある」と説明。インセンティブ抑制をしていても競争力は維持できているとし、販売拡大局面でも「なし崩しで元に戻ることはない地力がついている」と述べた。
ブルームバーグ・インテリジェンスの吉田達生アナリストは、マツダの米国市場でのブランド価値向上に向けた取り組みの成果は上がっているとし、「多くの自動車メーカーはそこに至る前に挫折しており、マツダは本当に立派」と評価。その一方で、規律ある販売を維持するために販売台数が犠牲になっている側面もあると吉田氏は続けた。
吉田氏はマツダが今後投入を予定する「CX-70」や「CX-90」といったサイズが大きい「 ラージ商品群」の車種が米国市場での成功の「鍵を握る」とみる。ブランド価値が向上したことに加え、高価格の値付けが可能な同商品群が成功すれば「どえらいことになると固唾(かたず)をのんで見守っている」という。
同社は 中期経営計画で米国販売を26年3月期までに45万台(22年3月期は32万2000台)に大きく拡大することを掲げている。今年1月には、 トヨタ自動車との合弁で南部アラバマ州に建設した新工場でCX-50の量産を開始し、生産体制も整えた。
青山氏によると、アラバマ工場は段階的に稼働率を上げていく計画。今後の部品供給などの制約次第ではあるが、マツダ保有分の年間15万台の能力に対して、今期は9万台程度の生産を計画しているという。
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