世界の穀物価格の指標となる米シカゴ商品取引所(CBOT)の大豆相場は、コロナ感染拡大前の2019年までは1ブッシェル(約27キロ)当たり8~10ドル台で推移。だが、20年末から、中国の旺盛な需要などで16ドル台まで上昇した。ロシアによるウクライナ侵攻や南米産大豆の供給不安なども加わった。今年3月には17ドルを突破し、12年に記録した過去最高値に迫った。現在はやや落ち着いてきたが、依然、16ドル台と高値圏にある。
国際相場高騰に加え、コロナ禍のコンテナ不足による海上輸送の混乱も見られる。貿易統計によると、主に海上コンテナで輸入される食用大豆の今年2月の輸入量は、コロナ禍前の19年同月比28%減の3万7666トン。専門家は「輸送の混乱で計画的な調達ができていない」と指摘する。
加工業者に焦り
輸入品の延滞は大豆商品の流通にも影響を及ぼす可能性がある。卸関係者は「年末年始に届くはずの大豆が来ない。在庫も通常の半分程度という業者もいる」と話す。関東の豆腐店は「関西などから大豆をかき集めている。豆腐の需要が高まる夏までに解消できなければパニックになる」と警戒する。
国際物流に詳しい拓殖大学の松田琢磨教授は「コロナ禍による海上輸送の混乱は解消されず、世界中の港が混雑している。船が工面できず荷物がたまっており、改善は23年以降になる」と予想する。
加えて、ロシアによるウクライナ侵攻を受けて穀物全般の国際相場は高騰。日本が輸入する非遺伝子組み換え(NON―GMO)の世界的な需要に伴う調達競争も激化する。健康志向で需要が高まり、生産者に支払う奨励金(プレミアム)は上昇傾向だ。国内の業界関係者は「節約志向やスーパーの激しい販売競争下で豆腐製品への価格転嫁が進まない中、今後、輸入原料調達は苦戦が強いられる」と危機感を募らせる。
縮まる価格差
一方、国産の普通大豆は21年産の収穫後入札の平均落札価格が前年比で1割以上安く、60キロ当たり1万円台で推移。国産は輸入品の1・8倍とされてきたが、その価格差は縮まっている。業界関係者は「輸入量は補えないが国産への切り替えを検討するメーカーは増える」とみる。
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