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小麦高騰 米粉出番 もちもち食感、健康志向… 「代替以上」の価値提案 - 日本農業新聞

 輸入小麦の価格高騰を受け、国内で自給できる米粉に注目が集まっている。パンやケーキはもちもち、しっとりした食感に仕上がる。健康志向の消費者に「グルテンフリー」もアピールできる。単なる輸入小麦の置き換えではない、米の強みを生かした提案が広がる。(玉井理美)

 自社生産の米を使った米粉やケーキ、麺などを製造・販売する福井市の農業生産法人・ペントフォークの伊藤武範社長は、需要の高まりを実感する。「米粉のミックス粉の開発依頼、シフォンケーキの卸売の依頼、他の新商品の開発依頼などたくさん来ている」と明かす。通販サイトでの4月の米粉の売り上げは、3月に比べ3倍以上に推移している。

 米粉の製粉量が国内最大級の波里(栃木県佐野市)によると、これまで小麦粉を使っていた企業が、米粉で商品開発を進める動きが出ている。ケーキなど薄力粉を使う食品は、しっとりした食感が出て米粉に優位性があるとみる。認知度向上へ大手レシピサイトと提携しており「米粉ならではの良さの訴求に力を入れる」という。

 「ふんわりもちもち」。パッケージで食感を強調するのは、亀田製菓グループのタイナイ(新潟県胎内市)の米粉パンだ。国産米粉100%のパンで3月に商品を刷新し、もちもち感を高めた。小麦高騰で注目が集まり「グルテンフリーやアレルギーの心配が少ない米粉の強みを生かしたい」(同社)。

 小麦粉主原料のパンでも、食感に特徴を出す目的で米粉の需要はある。大手製パン企業は食パンに一部米粉を加えている。別の企業の担当者は「米粉を2割ほど混ぜると小麦パンらしさを失わずに、程よいもっちり感が出せる」と説明する。

 農水省による2021年度の聞き取りでは、1キロ当たりの業務用価格は小麦粉が110円に対し、米粉は120~390円。工場稼働率や品質による差がある。

 ただ同省は、小麦粉と価格が接近・逆転しても「おいしさが向上しない限り、需要の拡大は難しい」(穀物課)とみる。米粉には小麦粉に含まれるタンパク質のグルテンがなくパン加工が難しいといった特性を踏まえると、商品開発には工夫が必要となる。こうした中、政府が28日に決めた物価高騰への緊急対策では、米粉を使った商品開発を支援する事業を設けた。

 同省によると22年度の米粉用米需要量は4・3万トンと過去最多となる見通し。コロナ禍で家庭用需要が好調な上、業務用も回復傾向にある。輸入小麦高騰がさらに需要を押し上げる可能性がある。

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