幼稚園、保育園への送迎や買い物などの際にとても便利で、高い需要があるからこそ安全対策を尽くしたい。幼児2人同乗用(3人乗り)自転車の使用に関してである。
懸念される痛ましい交通事故が先月11日、大阪府東大阪市で起きた。母子3人が乗る自転車が国道170号で転倒。弾みで前部の幼児用座席に乗っていた男児(3)が路上に投げ出され、トラックにはねられて死亡した。
現場は歩道のない片側1車線で、後部座席にも兄(5)を乗せて道路脇を走っていた。トラックの運転手が対向車と擦れ違う時、左にハンドルを切ったその先で自転車が転倒したという。
かつて、自転車の3人乗りは道交法上、違反行為に該当した。2009年7月の法改正で、座席やフレームの強度、走行・駐輪時の安定性などの安全基準を満たせば、幼児を前と後ろの座席に乗せられるようになった。
ただし、法規上の基準を満たすからといって安全性が担保されるわけではない。
公益財団法人交通事故総合分析センターによると、3人乗り自転車に同乗して事故に遭い、死傷した幼児は20年までの10年間で2589人に上った。2人乗り(幼児1人同乗)を含めると、8951人に達するほど事故は多い。
全国28医療機関を通じて10年9月~18年12月に収集した被災幼児1029人のデータを消費者安全調査委員会(消費者事故調)が分析した結果、「走行中」が48・7%、「停車中」が37・0%だった。
走行中の事故原因は、バランスを崩して転倒・転落が45・7%、スポークやチェーンへの足などの巻き込みが26・5%、スリップによる転倒が9・0%など。
停車中は、目を離したり自転車から離れたりしたときに転倒が48・3%、幼児の乗せ降ろしや運転者の乗り降り時が22・3%と多数を占めた。
これだけ見ても、どのような局面で何に注意すべきかを推し量ることができよう。走行中、停車中を問わず、転倒・転落には特に注意を払い、入念な対策を講じてほしい。
消費者事故調は走行実験を基に、安定性の観点から幼児1人同乗の場合は後部座席タイプを、2人同乗は前部座席タイプに後部座席の後付けを推奨する。また、電動アシスト自転車の選択を促す。
走行中にバランスを崩しやすい歩道との段差は速度を落とし、大きな進入角度を確保して乗り越えるといった運転者の対処も必要だ。
警察庁によると、自転車の事故による死者の致命傷部位は17~21年の集計で、頭部が約6割を占めた。ヘルメット非着用時の死傷者に占める死者の割合(致死率)は、着用時と比べて約2・2倍と高くなっている。ヘルメット、幼児用座席の安全ベルトが命を守る第一歩だと認識し、着用も徹底すべきだろう。
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