アマゾンの“壁掛け”できるスマートディスプレイ「Echo Show 15」が4月に発売されました。5型/8型/10型と展開してきたEcho Showシリーズの最新モデルですが、画面が15型と最大サイズとなったことで、ほぼ“ディスプレイ”的なデザインに刷新されています。
画面が大きくなったことで、より多くの情報やコンテンツを表示できるほか、壁掛け設置に対応。さらに縦位置での利用も可能になったという点も特徴です。価格は29,800円。
アマゾンによれば、大画面化の狙いの一つは、家族間での情報共有など“コミュニケーション”の強化とのこと。Echo Showシリーズの動画や音楽などのエンタメ機能やビデオ通話などに加え、家庭内の連絡用“ホワイトボード”のような使われ方を想定しているそうです。壁掛けも含めて、これまでのEcho Showとの違いはどこにあるか? 3週間ほど使ってみました。
大画面の魅力。どこに置くかが超重要
付属品は本体とACアダプタと、壁掛け用金具など。基本的には壁掛け設置を前提にしているため、「スタンド」は別売です。別売の「Echo Show 15専用スタンド」(3,980円)が用意され、このスタンドを使って卓上設置などに対応します。
ディスプレイは、15.6型/1,920×1,080ドットのフルHDです。画面も大きいですが“額縁”部分も結構大きく、15型というサイズ以上に大きく感じます。壁掛け設置した時に絵画のような見え方でスマートではありますが、卓上に設置するとやや圧迫感がありそうです。
前面左上にはカメラを内蔵しており、カメラはカバーで物理的に覆うことも可能です。このあたりはプライバシーにも配慮しているといえそうです。また本体上部にはミュートボタンとボリュームボタンも備えています。背面には取り付け金具用の溝が切られています。
Echo Show 15で重要なのは、“なにに使うか”と“どこに設置するか”の見極めです。というのも、動画・音楽・ビデオ通話、Alexaでの天気やカレンダーの確認、スマートホームのコントロールなど、Echo Showシリーズのほぼ全ての機能が使える一方で、ディスプレイも大きく目立つため、置き場所によって、“目障り”と感じてしまうこともあります。パソコンのディスプレイなどと違って、使っていないときも画面に情報や画像が表示されるため、「あまり視線を送らないが、すぐに見えるところ」に置きたいところです。なかなかそういう理想的な場所が見当たらないのですが……。
また、壁掛けの場合は、壁を傷付けないよう配慮するほか、そもそも壁掛けできるかどうかの確認も必要です。筆者も当初、仕事部屋の壁に貼り付けるつもりでしたが、コンクリートに直に壁紙が貼られており、予定していた場所に壁掛けできませんでした。そのため、まずは「スタンド」で使ってみました。
「買い物リスト」は便利。設置場所で変わる“便利”
最初はスタンドを使って、デスクトップ設置してみました。このスタンドがとても優秀で、横向き/縦向きの切り替えができるほか、上下/左右のチルト機構も備えており、好きな向きに設置できます。3,980円という価格のわりに作りがしっかりしていて、自由度も高いので、壁掛け設置場所が決められないとか不安がある、といった場合は積極的にスタンドを選んで、使ってみてから最終的な設置位置を決めるというのもありだと思います。
ホーム画面には、「天気」や「今日の予定」「やることリスト」「音楽」などのウィジェットを用意。簡単な操作はタッチで行なえます。ただし、壁掛けするとタッチ操作は難しい場合もありますので、基本的な操作は音声アシスタントの「Alexa」を使って“声”でコントロールします。
例えば、“アレクサ、Prime Videoを開いて”などと話しかけてアプリを起動し、コンテンツを選びます。
ウィジェットはクックパッドや「買い物リスト」などが用意されています。個人的には「買い物リスト」はかなり便利と感じました。「アレクサ、買い物リストにビールを追加」と話しかければ、リストに追加されます。スマホのAlexaアプリからリストを見られるため、買い物に出た時にもリストを確認できます。
また、買い物リストをタップすると「牛乳」などの品物を画面から追加できるなど、ウィジェットの作りもよい感じです。多くの家庭で見かける「冷蔵庫に貼った連絡用ホワイトボード」みたいな使い方がEcho Show上でできるのはなかなか便利です。
家族への連絡や買い物リストなどは、Echo Show 15ならではの特徴として非常によくできていると感じます。
このように家族の情報共有の“窓”的に使うためにも、どこにEcho Show 15を設置するかが重要です。例えば一人しか使わない仕事部屋や勉強部屋に設置すると情報共有は難しいので、家族が集まるリビングや、玄関の手前あたりに設置するとコミュニケーションに便利に活用できそうです。
Echo Showシリーズなので、Prime VideoもNetflixも視聴できます。15型と画面サイズが大きいことから迫力は十分で、連続ドラマなどをイッキ見するのも良さそうです。こうした場合は、机の上に設置してじっくり作品を楽しみたいところですが、コミュニケーションを優先して廊下に設置してしまうと、こうしたメディア系機能をフルには活かせません。このように、「Echo Show 15でなにを優先するか? 」の判断が非常に悩ましいところです。
ステレオスピーカーを搭載しており、音質もなかなかしっかりしています。ただし、重圧なスタンドを備えたEcho Show 10と比べると低音がやや弱く感じられます。また縦置き設置時にはモノラル再生となります。
音楽はAmazon MusicやSpotify、Apple Musicなどに対応しています。Echo Showのタッチ操作とAlexaで操作する場合は、「おすすめ」から選曲し、プレイリストなどを呼び出せないので、基本的にはスマホから選曲して「キャスト」するといった使い方が良いと思います。
動画関連で残念なのは、DAZNやYouTubeなどのアプリが無いこと。ただし、YouTubeはブラウザ経由での動画再生には対応し、「アレクサ、YouTubeを開いて」と話しかけるだけで、起動でき、画面にタッチしながら検索やキーボード入力ができるので、十分に使えます。卓上設置時にはYouTubeビューワーとしても魅力的です。
また、家庭内のEcho ShowやEchoとの連携機能も搭載。他のEchoへの「通話」や「呼びかけ」などにも対応しています。家が広い場合などはこうした機能もかなり役立つかと思います。
なお、Echo Show 15は、HDMIなどの外部入力端子は備えていません。そのため、パソコンのサブディスプレイとしては使うといったことはできません。
壁掛けは結構カンタン
当初予定していた壁には設置できませんでしたが、別の壁で「壁掛け」も試してみました。
壁に穴を開けたくなかったため、ネジを使わわずに壁掛けできる「石膏ボード用固定金具 壁美人 Echo Show 15用」(3,480円)を使ってみました。ベースの部分が180度開くホッチキスを使って石膏ボードに壁掛けできるというものですが、設置はとても簡単。場所を決めたら、ホッチキスを32個止めるだけなので、5分程度で金具を壁に固定できました。
想定よりちょっと上に固定しまうなど、ミスもありましたが壁掛け自体はとても簡単です。本体重量は2.4kgとまずまずの重さがあるのでしっかり壁に固定したいところです。
壁に設置してみると、やはりスタンドの部分の余計なスペースがなくすっきりとしたデザインで、「やっぱり壁掛け用にデザインされているんだな」と感じられます。電源ケーブルを隠したくなりますが、この点は難しそうです。なお、電源ケーブル長は1.4mとやや心もとないため、1.8mの延長ケーブルも用意されています。
Echo Show 15では、カメラをユーザー認識に使う「ビジュアルID」も搭載。カメラを通じてAlexaがユーザーを認識し、ユーザーに合わせて表示する情報をパーソナライズするというものです。「音楽」や「カレンダー」の表示に使うとのことでしたが、ほぼ筆者しか音楽を使っておらず、元々仕事関連のカレンダーは表示しない設定にしているので、現時点ではあまり違いを感じられませんでした。
壁掛けすると、とてもスッキリしてスペース効率はよいのですが、例えばPrime Videoの検索などでタッチ操作やキーボードを使いたいときには少し面倒です。また、YouTubeの広告をスキップするといった時も、画面に近づいてタッチするのが面倒です。マルチメディアディスプレイとして使う場合、壁掛けは少し使いにくさを感じます。
便利な壁掛けデバイス。なににつかう?
新しいEcho Show 15ですが、特にEcho/Echo Showシリーズを使ってきた人に取っては使いやく、動画や音楽を楽しむためのディスプレイとしても十分な性能といえそうです。
ただし、自分にとって最適な使い方をどう考えるのか、という点が難しいところ。Prime VideoやYouTube用のモニターとしても使えますが、画面が常についているので、仕事部屋のPCの脇などは少し目障りだなと感じることもあります。また、壁掛けすると少し操作が面倒くさくなるなど、なにかを優先すると少々のトレードオフが発生するというのが悩ましいところです。
筆者の場合、もう少しディスプレイを小さくして「買い物リスト」などホワイトボードを代替するようなデバイスのほうがシンプルでいいかな感じました。フル機能のEcho Showのため、なんでもできるが故に取り回しが難しいという印象です。
ただ、今回「壁掛け」を実際に試したところ、思っていた以上にカンタンで、日本の家庭でも“アリ”だな、と思いました。壁掛けデバイスでユーザーの生活をさりげなく便利にしていくというEcho Show 15のアプローチには今後の可能性を感じます。
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