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学歴「小卒」1万5000人/県、夜間中学の需要調査/国勢調査で判明/ - 読売新聞オンライン

 中学校を卒業せず、最終学歴が小学校の人が、県内で約1万5000人に上ることが、最新の国勢調査結果で初めてわかった。戦前戦中の教育制度の違いや終戦後の混乱期で中学に通えなかったとみられる80歳代以上が9割を占める一方、15歳~70歳代も1割弱の1226人いた。夜間中学の必要性を検討中の県教育委員会は、ニーズ調査を9月上旬まで行っている。(中村亜貴)

 教育機会確保法のもと、全国で夜間中学設置の検討が進みつつあることを受けて、2020年の国勢調査では、中学に通えなかった人たちの実態把握のために、最終学歴の項目に初めて「小学校」を設けた。

 その結果によると、20年10月時点で小学校が最終学歴の人は、県内では1万4805人。自治体別では、1963人の津市が最多で、松阪市1790人、四日市市1659人と続いた。

 年代別では80歳代以上が1万3579人と約9割を占めた。1947年3月までは、義務教育は小学校までだったことや、終戦直後の混乱期で中学での教育を受けられなかった人が多いためとみられる。

 これに対し、15歳から70歳代も計1226人に上った。内訳は、15~19歳が8人(うち外国人5人)、20歳代55人(同37人)、30歳代125人(同91人)、40歳代174人(同137人)、50歳代176人(同146人)で、比較的若い世代でも小学校までしか通えなかった人が一定程度いることが判明した。さらに、小学校にも通えなかったとみられる「未就学」との回答者が全世代で計1845人、50歳代までで673人いた。

 文部科学省は各都道府県に少なくとも1か所の夜間中学設置を求めている。

 担当者は「小学校卒」の数が初めて明らかになった点に関し、「病気などで就学義務の猶予・免除が認められたケースや、卒業証書はもらっても実際は不登校などでしっかり学べた実感が得られていない例など様々なケースが考えられるが、中学教育を十分に受けられていない人の数が顕在化した意味は大きい」と話している。

 県教委は現在、夜間中学を県内に設置するかどうかを検討している。昨秋からは試験的に津、四日市両市で体験教室「まなみえ」を開講している。

 今年4月に始まった第2期では、7月時点で外国人3人を含む約10人が学ぶ。今回の調査結果を受け、県教委小中学校教育課は「これだけの人数が中学に通えていなかったとすると、さらなる潜在的な需要があるのではないか」とみている。

 夜間中学の運営を巡っては、毎年の入学者数が不透明という問題がある。その存在を広く周知して、ニーズを掘り起こすことが設置に向けたカギになる。

 同課は9月上旬まで県内在住・在勤者を対象に、夜間中学への通学希望やどんな勉強をしたいかを尋ねる調査をしている。回答をオンラインで受け付けるほか、職員が、地域の事情に詳しい市町の民生委員の会合や識字学級、外国人向け日本語教室などに足を運んだり、駅にチラシを置いたりして、「まなみえ」のPRとともに夜間中学の趣旨を広報し、希望を募る方針だ。

 県教委のホームページでは、日本語のほかポルトガル語、英語など計7言語の調査票を用意している。調査に関する問い合わせは、同課(059・224・2963)。

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