コメ離れが止まらない。農林水産省は20日、2023年産の主食用米の需要量(23年7月~24年6月)が過去最低を更新するとの見通しを公表した。政府は飼料用米などへの作付け転換を促して生産の抑制をめざすが、需給の均衡点は見えない。コメの卸値は生産費の増加を映して上がっており、需要の縮小に拍車がかかる恐れがある。
農水省は同日公表した見通しで、22年産米の需要量を691万~697万トンと推計。23年産の需要量は国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口や消費のトレンドなどをもとに、22年産より11万~17万トン(約2%)少ない680万トンと見込んだ。
政府は需要に見合った生産量への調整を続けてきた。減反(生産調整)政策を18年に廃止した後も、補助金を用意して農家に作付け転換を促している。22年産米の主食用米作付面積は21年産に比べ4%減少。飼料用米の作付面積は14万2千ヘクタールと過去最大になった。
作付け転換を受け、コメの民間在庫はゆるやかに減りつつある。23年6月末の在庫量は191万~197万トンと、供給過剰の目安となる200万トンを4年ぶりに下回る見通し。24年6月末の在庫量は180万~186万トンと試算する。
業界では民間在庫量が180万トンに近づけば、コメ価格が上がるという見立てもある。一方、価格の上昇で「飼料米から主食用に戻す農家が増えたら、需給バランスが崩れ米価が下落する」との声もある。
コメの需要は毎年約10万トン規模で減っている。新型コロナウイルス禍で冷え込んだ外食需要は回復したが、家庭の需要は伸び悩む。大手コメ卸の担当者は「入国制限の緩和で消費が拡大するという期待感が業界で流れているが、コロナ禍前には戻らない」と指摘する。
22年産の新米卸値は上昇した。JAグループなどがコメ卸に売る際の相対取引価格(9月時点)は、全銘柄平均で前年同月比5%高い。生産コストの高騰を受け、JAグループが農家からコメを集める集荷価格(概算金)を上げた結果だ。消費が鈍る中の値上がりで、需給の均衡が一段と遠のく可能性がある。(沢隼)
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