観光需要はサウナで熱い復活を−。新型コロナウイルスの影響で冷え込んだ観光需要はなかなかコロナ前の水準には戻らないが、静岡県伊豆東部の宿泊施設の中にはブームが続くサウナを設けて宿泊客を取り戻そうという動きが出ている。「サウナー」「サ道」が沈滞が続く地域の観光経済に光をもたらすか。(向川原悠吾)
全国有数の温泉地の熱海市。下多賀地区の旅館「味と湯の宿ニューとみよし」では二月、数百万円の改修費をかけて既存の客室二部屋をサウナ付きにした。改装したのは大型の部屋で、以前は六、七人のグループ向けだったが、コロナ禍で大人数での宿泊がめっきり減り、ほとんどが二、三人での宿泊。客単価を上げるために考え抜いたのがサウナ付き客室だった。
近年、サウナ愛好家を「サウナー」と呼ぶほど浸透し、ドラマ化された書籍「サ道」も大ヒット。サウナ付きの銭湯に行列ができるなど新しいトレンドを生み出す力を持っている。こうしたブームに着目した専務取締役の富岡宏泰さん(33)は「明確に需要があるか分からないが、試してみる価値がある」と手探りの状況で始めたところ、これが思わぬ反響を呼んだ。
サウナ付きの部屋は開始から65%の稼働率。今春の観光庁の調査で全国の旅館やリゾートホテルが20%前後だったことを考えると、大当たりとなった。利用客からは「サウナが付いた部屋にひかれて宿泊しました」「部屋にサウナがあるのは初めてで、不思議な感覚」といった感想が寄せられた。
サウナーの楽しみの一つでもある水風呂は、もともと付いていた部屋風呂に水を入れることで対応。個室露天風呂を整備するより、三百万円近く安く仕上がった。客単価は三割近く上がり、経費を抑えて収入の増加につながり、富岡さんは「新しいことに取り組んで、新しい需要を呼び込んでいくことが大事になっていくと思う」と見据える。
河津町のビーチ沿いにある「伊豆今井浜東急ホテル」もこの秋から、敷地の屋外にテントサウナ三張りを設置。水風呂にはホテルの設備で夏以外のシーズンオフには使用していなかった幅二五メートル、深さ一・二メートルの屋外プールを有効活用。「泳いで潜れる水風呂」をアピールする。
この取り組みもサウナブームの追い風やリモートワークの利用客向けに付加価値を高めようと実施。愛知県などから予約が舞い込むなどしている。ホテルの担当者は「サウナはお客さんを引きつける一つの要素になる。波の音を聞きながらサウナでリラックスしてほしい」と話す。
公益社団法人日本サウナ・スパ協会(東京都)の若林幹夫事務局長によると、協会にはホテルなどからサウナ設置に関する問い合わせが相次いでいるという。「サウナに入る人は一千万人ほどといわれており、特に二十代から三十代の若い利用者が増えている。混雑に関係なく自分のペースで入れる個室サウナの需要はしっかりと存在すると思う」と評価していた。
関連キーワード
おすすめ情報
Bagikan Berita Ini
0 Response to "熱海・伊豆 サウナで復活!? 宿泊業者の設置続々 併設の客室やテント型に反響:東京新聞 TOKYO Web - 東京新聞"
Post a Comment