長年に渡って維持され、親しまれてきた「原付一種は50ccまで」という枠組みが見直されるかもしれない。2025年に施行される排ガス規制への適合など、様々な問題に直面している原付一種を今後も存続させていくため、各方面に影響力を持つ二輪業界団体が枠組みの見直しに言及したのだ。
原付一種の存続は、今まさに崖っぷち!
日本において、もっとも手軽なエンジン付きの乗り物は、“原チャリ”の愛称で親しまれる50ccの原付一種バイク/スクーターだ。免許の取得が容易で、4輪の「普通自動車免許」でも運転でき、車両代金も維持費もリーズナブルな原付一種は、今でも500万台近い保有台数がある、国民にとって欠かすことのできない交通手段である。
とは言え50ccという排気量帯は、世界でほぼ日本にしか存在しないガラパゴスなカテゴリー。最盛期の約300万台/年から、近年では約12万台/年にまで販売台数が激減していることもあり、日本専用に50cc車を作るコストはメーカーとしてもかなりの重荷になりつつある。2018年にヤマハの原付一種・ジョグとビーノがホンダ製(ホンダのOEM)となったのはその現れだ。
さらに原付一種には厳しい課題が待ち構えている。2025年10月に迫る新しい排ガス規制だ。
令和2年規制(≒ユーロ5規制)と呼ばれるこの規制、そもそもは他の排気量と同様、2022年に完全施行される予定だったのだが、原付一種でクリアするには莫大なコストが必要となり「ユーザーが手軽に買える価格ではなくなってしまう恐れ」があったため、原付一種だけは3年間の猶予が与えられたという経緯がある。
この施行延期は全国約1600社のバイクショップが加盟し、自民党オートバイ議連などにもコネクションを持つ業界団体「全国オートバイ協同組合連合会(AJ)」の尽力によるものだったが、いずれにせよ2025年には同じ問題に直面する。コスト高を理由にメーカーが50cc車の生産から撤退してしまえば、新車で買える原付一種が日本から消滅してしまう可能性があるのだ。
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