インターネットや交流サイト(SNS)上で広告であることを明示せず、一般の口コミを装って商品などを宣伝する「ステルスマーケティング(ステマ)」について、消費者庁の有識者検討会は27日、報告書をまとめ、ステマを景品表示法で禁止する「不当な表示」に含めることを提言した。消費者庁は報告書を受け、運用基準の策定などに着手。新たな告示を制定し、来年中にも施行される。
現行法では、宣伝内容に不当な表示があれば規制対象となるが、ステマを直接取り締まる規定はない。
法規制の背景には、近年のSNS上での広告需要の高まりがある。ソーシャルメディアマーケティング事業を展開する「サイバー・バズ」と調査会社「デジタルインファクト」による市場動向調査によると、今年の市場規模は推計9317億円で、平成30年(4186億円)から倍増。SNS上などで影響力を持つ「インフルエンサー」に限っても推計615億円に上るという。
報告書では、ステマを「消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害する恐れがある行為」と認定。景表法が禁止する不当な表示の類型に、「消費者が事業者の表示だと判別することが困難だと認められるもの」との項目を加えるのが妥当だと盛り込んだ。
事業者側が第三者に経済上の利益をもたらすことを言外から感じさせたり、金銭や物品に限らず対価性があったりすれば、広告と認定。ステマ広告を依頼し、表示内容の決定に関与した事業者が規制対象となる。
一方、広告表示が未記載の場合や、「動画内の短時間の表示」「周囲の文字と比べ小さい」といった場合は判別困難とした。
検討会では、消費者やインフルエンサーなどに対し、ステマが違法行為になることへの周知徹底や、改善が見られない事業者への規律を検討する必要性があるとの意見も出された。
消費者庁が現役インフルエンサー300人に行った調査では、約41%が「広告主からステマを依頼された経験がある」と回答。このうち約45%が実際に依頼を受けた経験があり、約64%が「ステマへの理解が低かった」との理由だった。
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