電力安定供給の監視体制について電力広域的運営推進機関(以下、広域機関)に聞く本連載。第1回 は燃料の監視、 第2回 は夏冬に発電所が足りるかを検証する需給見通しについて聞いた。第3回のテーマは、実需給の前日や当日といった「目の前の発電能力」が足りるかを検証する「広域予備率」と「電力需給ひっ迫警報」だ。
警報発令の基準は何か、でんき予報と広域予備率の違い、需給ひっ迫時にでんき予報が100%を超えたのはなぜか、重要性が増している揚水発電や電力融通などは予備率にどう反映されるのか。広域機関の小林正孝・運用部担当部長、岡田怜・企画部マネージャー、高間康弘・計画部マネージャーに聞いた。」
週間・前日・当日の3段階で公表
――2022年3月や6月には、広域予備率が3%もしくは5%を下回る予想となったことから緊急の節電要請がありました。広域予備率は企業や個人の活動に大きく影響するものですが、4月に正式に稼働した 広域予備率Web公表システム では、どのような情報を公開しているのですか。
広域機関 第1回、第2回で説明したように、予備率というのは「電力の需要」に対して発電所の「供給能力・設備容量」が足りているかをチェックするための指標です。具体的には「供給能力÷需要」で算出する数字であり、供給力が需要を上回っていることが重要なので、100%を超えた分を予備率と呼びます。
Web公表システムでは「週間」「前日」「当日」の3段階に分けて、実需給日の2週間前から当日までの予備率を公開しています(図1・青色)。
週間の予備率では、翌週・翌々週の各日の「最大需要時の予備率」と「予備率が最小になる時間の予備率」を公表しています。「最大需要時の予備率が最小予備率になるのでは?」と思われるかもしれませんが、夏は昼の電力需要が大きいものの、日中は太陽光発電に期待できます。そのため、太陽光発電の出力が低下する夕方や夜の方が、低い予備率となることは珍しくなく、最小の予備率も公開しています。
実需給日前日の18時ごろには、翌日の予備率を公開しています。需給見通しや週間の予備率は、需給の厳しい時間帯の予備率だけを公表していますが、前日からは「30分ごと48点(コマ)の予備率」を公表しているのが大きな違いです。実需給日当日についても同じように48コマの予備率を公開していますが、気象予測などが時間の経過とともに新しくなるため、予備率も最新のデータを使用したものに30分ごとに更新しています。
一般送配電事業者各社はホームページで「でんき予報」を公開していますが、これらは予備率ではなく「電力の使用率」です。予備率が「供給力÷需要」であるのに対し、使用率は「需要÷供給力」と逆になっただけなので、使用しているデータは同じものです。
――2022年夏から新設された電力需給ひっ迫準備情報と注意報、以前からある警報(図1赤字)が出されることがあります。これらはどのような条件・タイミングで発令するのですか。
広域機関 広域予備率Web公表システムでは、週間・前日・当日の各予備率を365日公開し続けています。この予備率があらかじめ決めた基準を下回った時は、準備情報・注意報・警報を発令します(図2)。
準備情報は、最小予備率が5%を下回る予想となった場合に、実需給日の前々日の18時に発信します。注意報は予備率が3〜5%、警報は3%を下回る予想となった場合に、実需給日前日の16時に発令します。準備情報は一般送配電事業者、注意報・警報は国が発令し、発令された場合には 広域機関のホームページ やツイッターでも情報提供します。
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