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レンズを装着するだけでスマホが顕微鏡になる「ミクロハンター ... - MdN Design Interactive

身の回りにある文具や生活雑貨、飲食物などを、普段と違った“視点”で見るととても新鮮です。小さなレンズを装着するだけでスマホのカメラが顕微鏡になる「ミクロハンター(microHunter)」では、最大800倍まで拡大して観察することができます。ときには、まるで誰かが制作したアートかと思うような、美しく幻想的な世界が見られることも。単純にワクワクするのはもちろん、デザインのアイデアや素材としても活用できそうです。

科学のためだけではない、顕微鏡の楽しみ方

「ミクロハンター」は、スマホのレンズに貼り付けるだけで、スマホカメラを顕微鏡として使うことができる小さなレンズです。

スマホのレンズに顕微鏡レンズを貼り付けるだけなので、機種やレンズの数を問わずほとんどのスマホで使える。標準レンズや望遠レンズの使用が推奨されていて、広角レンズ(iPhoneでは超広角レンズ)は推奨されていない

光学顕微鏡と付属品をセットにした「ミクロハンターキットLite」と、偏光顕微鏡と付属品をセットにした「ミクロハンターキットPL」の2種類があります。小学校の理科の授業でミジンコなどを観察するのに使っていたのは、たいてい光学顕微鏡ではないかと思います。一方偏光顕微鏡は、光を偏光させることで物質の構造まで観察しやすくなるものです。

これらのレンズは、もちろん微生物や細胞を観察するといった科学的な用途に使えます。ただそれだけではなく、身の回りにあるさまざまなものを見てみると、肉眼で見るのとは違った新たな世界が広がります。ときにはクリエイティビティを刺激されたり、デザイン素材として使える美しい画像を撮影したりすることができるかもしれません。

光学顕微鏡で見る世界(ミクロハンターキットLite

光学顕微鏡の「ミクロハンターキットLite」には、約100~800倍まで拡大できるmicroHunter X100と、約30~250倍まで拡大できるmicroHunter X30の2つのレンズが入っています。公式でのおすすめ観察対象は、昆虫や植物、宝石、微生物、精密機械、繊維、金属、紙、人体組織、細胞、刃物などです。実際にこれらのレンズでどのような画像が撮れるのかをご紹介していきます。

まずはmicroHunter X100で観察しました。光を透過するものはもちろん、光を通さないものも見られます。ミルで砕いた岩塩は不規則な断面と光の透過でとても神秘的に、ピンクの不織布は少しグロテスクな雰囲気になりました。

岩塩は光が透過している
ピンクの不織布は繊維がよく見える

本体にレンズが固定された一般的な顕微鏡と違い、「ミクロハンター」は立体物に当てて観察することも可能です。PCモニタを見てみると、赤・緑・青がタイル状に並び、光の3原色で構成されていることがよくわかります。吹きガラスのコップは、中の気泡が水中を漂うクラゲのような印象になりました。

PCモニタは光の3原色(RGB)がタイル状に見える
吹きガラスのコップは、気泡が海中のクラゲのよう

一方、microHunter X30の方は、ある程度大きさのあるものを観察するのに向いています。microHunter X100は対象物との撮影距離が0.2mmなのに対して、こちらは4mmと少し離すので、凹凸がわかりやすいのも特徴です。例えば、アクリル画のテクスチャにフォーカスしてもおもしろいでしょう。また、このレンズでは、小さくていろいろな色があるものはたいていきれいに見えます。カラフルなネイル用のシェルパーツを撮影したら、とてもかわいらしくなりました。

アクリル絵の具のテクスチャにフォーカス
カラフルなネイル用シェルパーツ

基本的に「ミクロハンター」はライトを点灯したまま使いますが、microHunter X30に関しては、観察対象がメタリックなものだと反射するので消した方が撮りやすい場合があります。金糸の入ったニットはライトをつけることでよりキラキラ感が増し、くしゃくしゃにしたアルミホイルはライトを消すことで陰影が出ました。

金糸の入ったニットはライトをつけて撮影
アルミホイルはライトを消して撮影

偏光顕微鏡で見る世界(ミクロハンターキットPL

「ミクロハンターキットPL」には、microHunter X100Pという約100~800倍まで拡大できる偏光顕微鏡のレンズが入っています。光を偏光させることで観察するため、透過するほど薄いものや極小の対象物が向いています。公式のおすすめ観察対象としては、結晶、岩石薄片、プラスチック繊維、珪藻、放散虫、デンプン粒などが挙げられていました。なかでも岩石薄片は、石のステンドグラスと呼ばれるとても美しいものが見られるようです。

まず光学顕微鏡と偏光顕微鏡の見え方の違いを、不織布マスクで比較してみます。前者は単純に拡大することで繊維が見えているのに対して、後者は偏光させたことで色が違って見えるため繊維がよりはっきりし奥行きもわかりやすくなっています。

光学顕微鏡レンズmicroHunter X100で見た不織布マスク
偏光顕微鏡レンズmicroHunter X100Pで見た不織布マスク

違いがわかったところで、microHunter X100Pでさまざまなものを観察してみます。じゃがいものでんぷんは、虹色の水泡のようで幻想的です。意外にもとても美しかったのが、セロハンテープでした。ランダムに重ねることで色の違いが出てステンドグラスのようになります。

じゃがいもの切断面をこすりつけて採取したでんぷん。十字の割れ目のようなものが入った構造であることがわかる
セロハンテープをズラして重ねることで色の差が出る。尖っているのはテープカッターで切ったギザギザの部分

そして、偏光顕微鏡で一番オススメしたいのが結晶です。クエン酸や重曹、ミョウバン、塩などを水かお湯に溶かし、乾燥するとつくれます。少々面倒で失敗することもありますが、科学とアート両面のおもしろさがあります。

大きな結晶をつくるノウハウなどもネットで公開されていますが、大きいと付属のスタンドに底上げして高さを出す必要が出てくるので、「ミクロハンター」では小さな結晶の方が観察しやすいです。クエン酸の結晶はオーロラのような美しさで見惚れてしまいます。

水で溶かしたクエン酸を1日乾燥させてつくった結晶。オーロラのように美しい

使用アプリと撮影方法

「ミクロハンター」は基本的にライトをつけて観察するものなので、ライトをつけたままにできるカメラアプリが必要です。iPhoneの標準カメラアプリはライトをつけっぱなしにできないので、サードパーティのアプリを入れます。

「ミクロハンター」の専用アプリ「i-Seeing」も提供されており、iPhoneとAndroidどちらでも使えます。こちらは正確な拡大率を把握しやすいスケール表示もあり観察するのには便利ですが、撮影した画像の解像度が低いことと、台湾製アプリのためローカライズされていない点に注意が必要です。

ミクロハンターの専用アプリ「i-Seeing」ではスケールも表示できる
メニューが英語だったり、注意表示が中国語だったりし、日本語ローカライズされていない

公式では他に、iPhoneでは「Mカメラ」、Androidでは「HDカメラ」などが使用できるアプリとして紹介されています。解像度の高い画像を撮りたい場合は、これらを使うとよいでしょう。

撮影方法は、まずはどのレンズも同様にスマホに装着します。接着面が吸着パッドになっているので、押しつけるだけでくっつき、取り外しもできます。microHunter X30は、そのまま観察対象から4mmの距離でフォーカスを合わせて撮影していきます。

他の2つのレンズでは、観察対象をキットの専用ケースに乗せ、付属のフォーカススタンドをスマホを置く位置の左右と後ろに設置し、その上にスマホを置きます。傾斜のある後ろのスタンドを押したり引いたりしてスマホの角度を調整することで、ピントを合わせていきます。「ミクロハンター」は通常の顕微鏡のようにレンズや観察対象が固定されていない分、フォーカスを合わせるのが少々難しいです。観察対象とスマホが並行になるようにするとピントの合う範囲が広くなります。何度か試してコツを掴んでいきましょう。

ケースの上に観察対象、左右と後ろにスタンドを置く。左右のスタンドはテープやひっつき虫で固定すると使いやすい
後ろのスタンドを前後させることでスマホの角度が変わり、フォーカスを合わせる

また、偏光顕微鏡のmicroHunter X100Pでは、ケースに接着されている黒い偏光板の上に観察対象を置きます。レンズの縁には溝が入っていて、この偏光板に平行の向きにして見ることを平行ニコルといい、偏光板を90度回転した状態で見ることを直交ニコルといいます。前者は偏光をボーダー状の隙間から透過させ、後者は格子状の隙間から透過させるためより暗くなります。偏向板の角度を変えながら、どちらの見え方がよいか比較してみるといいでしょう。

レンズの縁の溝をスマホと平行に接着した場合、スマホにケースの短辺を合わせるのが平行ニコル
養生テープを平行ニコルで撮影
レンズの縁の溝をスマホと平行に接着した場合、スマホにケースの長辺を合わせるのが直交ニコル
養生テープを直交ニコルで撮影

粒状のものなどを観察する場合は、プレパラートも必要になります。趣味で気軽に楽しむだけなら100円均一でも売っているプラスチック製のカードケースなどで代用できますし、きちんと揃えたい場合には「ミクロハンター」の公式サイトでも販売されています。

まとめ

「ミクロハンター」は、科学に興味のある方はもちろん、普段と違った視点のきれいな画像を見たい、場合によってはデザイン素材に使いたいという方にも楽しめます。

身の回りのものをいろいろと観察してみたいという方には、光学顕微鏡の「ミクロハンターキットLite」の方が適しているでしょう。一方偏光顕微鏡の「ミクロハンターキットPL」は、より物質の構造をしっかり把握したい、あるいは結晶や岩石薄片などを見たいという明確な目的を持っている方に適しています。

どちらのキットも付属品一式を含めカードサイズの専用ケースに収納できるので、出先や野外での観察で使う場合にも持ち歩きしやすいです。しかし、レンズは吸着パッドでついているだけなので、何かにひっかけるとポロッと取れてしまうことがあります。特に野外で利用する際は、落として無くさないよう注意しましょう。

また、「これを顕微鏡で見たらおもしろいのではないか」と考え始めると、片っ端から試してみたくなります。楽しくなってつい仕事を放り出してしまったなんてことのないよう、熱中しすぎにご注意ください。

DATA

製品名:ミクロハンターキットLite(光学顕微鏡キット)、ミクロハンターキットPL(偏光顕微鏡キット)
実売価格:8,300円(税込)、7,400円(税込)
発売元:合同会社KaraSeed
公式サイト:https://microhunter.karaseed.com/
公式オンラインショップ:https://microhunter.shop/

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