電子部品メーカーの業績落ち込みに歯止めがかかり始めた。2023年7―9月の国内大手6社の連結営業利益の合計は前年同期比21%減の2513億円。減少幅は4―6月期より縮小。顧客の部品在庫圧縮が進み最終製品の生産に沿った部品出荷に戻りつつある。円安の再加速も利益を押し上げた。ただ分野ごとで需要に濃淡がある上、中国経済の減速などもあり本格的な回復軌道に乗り切れない。競争力のある製品の投入やきめ細かなコスト管理、不採算事業の見直しなど為替に頼らない「稼ぐ力」を高める独自の取り組みが今後の業績を左右しそうだ。
「エレクトロニクス全体の需要は底を打った感触はある」。村田製作所の中島規巨社長は10月31日の決算会見で足元の状況をこう話した。同社の4―9月期の連結営業利益は同30・7%減の1389億円だったが、従来予想の840億円を上回った。円安効果が大きいが、スマートフォンや自動車向け部品の販売が増加したことも一因。スマホ分野などで客先の在庫調整がほぼ終了した結果、同分野向けの電子部品の出荷もスマホ生産に見合った水準に回復し始め、スマホ新製品の作り込みなどの季節要因を取り込んだ。上期の上振れを受けて24年3月期の営業利益見通しも2250億円に修正。従来予想(1640億円)より前期比の減少幅が縮小する。
ただパソコンやデータセンターは依然客先の在庫調整が終了していない他、中華系スマホも回復は「低中価格帯が中心」と村田製作所の村田恒夫会長は指摘する。「中国経済(の減速)もあり、力強い回復力は感じられない」(中島社長)状態だ。オムロンの辻永順太社長最高経営責任者(CEO)は「第2四半期以降、中国を中心に制御機器の需要が想定より減速している」とし、電子部品についても需要回復が想定より遅れ、下期は低調に推移する見通しだとした。京セラもデータセンターやパソコン向け半導体関連の回復が鈍いほか、電子部品もコンデンサーや水晶部品で在庫調整が続いているとした。
今後業績を伸ばすには独自の取り組みが欠かせない。村田製作所の場合、固定費などのコスト削減も増益の一因だ。また製品・仕掛品を6月末で355億円(為替影響を除く)圧縮。在庫水準は目標に達成し、今後は売上見合いの生産ができる体制を整えた。TDKもコストダウンと並行して付加価値の高い小型電池を投入。中華系スマホでシェア上昇につなげた。
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