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Apple Vision Pro買ってきた日記 1日目:「予測された未来」がついに目の前に!【西田宗千佳のRandomTracking】 - AV Watch

Apple Vision Pro

Apple Vision Pro(以下Vision Pro)をアメリカに行って購入した。

1日目のレポートとして、実機を使ったファーストインプレッションをお届けする。

購入に至る流れは「0.5日目」としてImpress Watchの方に掲載しているので、詳しくはそちらをご覧いただきたい。これ自体、ある種の旅体験として面白かった。

昨年6月に開発者イベント「WWDC 2023」でVision Proが発表された際、筆者も短時間だが体験し、その感想を「やばい」のひとことでお伝えしている。

「なにをおおげさな……」と思われたかもしれない。

だが、購入してじっくり使ってみた今も、「いろいろ留意点はあれど、確かにこれまでと大きく違うデバイスだ」というのが筆者の感想だ。

ではどんな体験なのか。実機写真とともにお送りしたい。

バッテリーは外付けだが……

付属品の中でも、バッテリーと電源のことは特記しておかなければいけないだろう。

付属のバッテリー

他のHMDの多くがバッテリー内蔵であるのに対し、Vision Proは外付けだ。本体重量を少しでも減らすためと思われる。

バッテリーは確かに邪魔で、内蔵の方が良いのは事実だろう。一方で、今は技術的にそれができず、「バッテリー外付けを選んだことで品質を担保できている」のは間違いない。

使ってみると、意外と慣れるものだ。バッテリーにはUSB Type-Cの端子があり、ここから給電する。すなわち、バッテリー動作時間よりもさらに長く使うことはできるし、バッテリーは机の上やポケットなどに配置する感じでいい。

充電用のUSB Type-C端子がある
本体とはこのようにケーブルでつながる

問題は「本体とバッテリーの両方を持ち歩くと重い(1kg近くになる)」ことの方だろう。

なお、バッテリーと専用ケーブルの接続端子が「Lightningっぽいなにか」であったことがSNSなどで騒がれたようだが、正確にはLightningよりも幅広な独自端子。そもそも、バッテリーとケーブルをひんぱんに外す構造にはなっておらず、脱落防止の爪もある。バッテリーのホットスワップ機能がないことを考えても、この端子から簡単にバッテリーが取れるようでは困るのだ。無理にバッテリーを交換するより、バッテリーにあるUSB Type-Cの先をどうするか考えた方が良いだろう。

Vision Proとは「ディスプレイの本質的な変化」のためのデバイスだ

さて、では実際に使った印象を語っていこう。

昨年6月の記事で触れた内容と、実は大きな差はない。技術的にいえば、

  • 解像度が高く、色再現性も高いディスプレイを使っている
  • 性能が高く、処理落ちなどがほとんど見られない
  • 精度の高い視線認識を採用しており、腕を大きく動かさずに操作できる

という話になるのだが、それらはあくまで「要素を技術的に分解するとそうなる」という話であり、体験として解説するなら、

  • 周囲が立体感含めて自然に見える
  • その上に重なるグラフィックスが自然でなめらか
  • 空間全体を無理なく使える
  • 操作していても腕が疲れづらい

ということになる。

ホーム画面を表示。後ろはホテルからのハワイの風景

もっとシンプルにいえば、以下の動画が実際の操作のものだが、まったくこのままの感覚で使える。

Vision Proを動かしてみた動画

空間に本当に、iPad用のアプリケーションが3D化されて浮いているようだ。しかも、自分の周囲のどこにでも置ける。

詳しくはまた次回以降に述べるが、映画や空間ビデオの体験は非常に素晴らしいし、そもそも、空間を活用して作業をできることは新鮮な驚きがある。

Disney+などで動画も視聴可能
写真などを好きな場所に配置して利用

iPhone 15 Pro Maxで撮影したパノラマ写真を体験

Macの画面を大きく映し出して、Vision Pro専用のアプリと同時に使うこともできる。

下のMacの画面がVision Proの中に。実際にはもっと大きな表示に拡大可能

重さや顔への負担など、気になる要素はもちろんある。暗いところでは解像感・色合いが落ちる印象があるし、UI上、色々まだまだ改良点は必要だろう。

だが、明らかにこれは今までの体験とは異なる。

雑駁にいえば「ARと言われていた世界の体験が、プロモーションビデオではなく現実として現れた」ということであり、「当たり前のものになったコンピュータの操作体験に、まだまだ新しい世界が存在する」ということでもある。「動画や写真を楽しむ新しい方法が生まれた」という言い方もできるだろう。

そのくらい、この変化は「ディスプレイの本質的な変化」だ。そして、その変化をちゃんとしたものとして提供するには、今のところ、3,500ドルの凝りに凝ったハードウエアとOSの組み合わせが必須という話でもある。

では、その新しい体験は具体的にどんな楽しさであるのか?

次回は帰国便の飛行機内でのオーディオ・ビジュアル体験を中心に語っていきたいと考えている。

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