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コロナ後、コミュニティとつながりはどうなるか。オンラインイベントで聞いた - LIFULL HOME'S(ライフルホームズ)

複数のコミュニティに属しているほど変化に耐えられる

人は人とのつながり無しに生きることはできない。だが、感染症が拡大する状況下では人は家族以外の人と離れて暮らすしかなく、社会との分断、孤独を感じている人もいるのではなかろうか。また、自治体や企業が解決できない社会問題に取組むNPOやボランティア活動をしている人たちもまた、集まれない、貢献できないことに苛立ちやもどかしさを覚えている。

そんな中、2005年以来、NPOや市民活動、サークル運営者にマネジメントのノウハウを提供してきたNPO法人CRファクトリーが各地で活動する人たちを対象に、コミュニティとつながりを考えるオンラインイベントを開催した。

登壇したのは同NPOの代表理事である呉哲煥(ご てつあき)氏。癌薬物療法の専門医として働く傍ら、2013年以来「誰もが病気になっても自分らしく生きられる社会」の実現をビジョンとする一般社団法人CAN netの活動を行ってきた杉山 絢子氏。学生時代から子どもや若者が社会で自立できる社会づくりの活動に携わり、千葉県松戸市で官設民営の中間支援施設のセンター長、民間学童運営などに活躍する阿部 剛氏の3人である。

イベントは冒頭、全国から参加した52人がオンライン上の個別の部屋に分かれての自己紹介、近況報告から始まり、続いて登壇者3人が今やっていること、考えていることを語ったのだが、ここで面白かったのが呉氏が提示した縦軸にコミュニティ所属の有無、横軸に関係性が良好かどうかを置いたマトリックス。

縦横の軸に仕切られて4つのゾーンが作られるわけだが、コロナ下でも、そうでない状況でももっとも幸せで、不幸にも立ち向かえるのは複数のコミュニティに属し、いずれでの人間関係も良好である人。会社だけ、家庭だけといったように単一のコミュニティにしか属していない人はそこでの人間関係が壊れるだけで弱くなるし、たくさんのコミュニティに属していても関係が悪ければ幸せとは言い難い。どこにも属していないとしたら、どう感じるだろう。聞いていて、この機に自分と社会、人間関係を同様の軸で見直してみてもよいのではないかと思った。

縦軸は所属するコミュニティ、横軸は関係性を意味する。複数に属し、関係が良いのが右上、属しているが単一というのが右下で、そことの関係が悪くなった場合にはリスクが生じる。複数に所属していても関係が悪い場合が左上。複数属していれば逃げ場がある。左下は所属するコミュニティがなく、関係性も悪い。これは困った顔になるしかない縦軸は所属するコミュニティ、横軸は関係性を意味する。複数に属し、関係が良いのが右上、属しているが単一というのが右下で、そことの関係が悪くなった場合にはリスクが生じる。複数に所属していても関係が悪い場合が左上。複数属していれば逃げ場がある。左下は所属するコミュニティがなく、関係性も悪い。これは困った顔になるしかない

誰かの役に立ちたいという意識の明確化

主に松戸で活動している阿部氏。ボランティアに応募してくる人たちの話には感動した主に松戸で活動している阿部氏。ボランティアに応募してくる人たちの話には感動した

新型コロナウイルス対応として松戸市の総合病院からの依頼で目を守るアイシールドを作るためにボランティアを募集、作業をしているという阿部氏は活動を通じて誰かのために役に立ちたいと思っている人が多いことを感じたという。

「大変な環境の中、頑張っている人に感謝、少しでも力になれてよかったという言葉を何度も聞きました。何か、協力できることはないかという問合せも頂いた。これまで社会につながろう、役に立とうと思っていなかった人に、今回の危機をきっかけにそうした意識が芽生えだしたのであれば面白いと思うし、それを今後にもつなげていけるようにデザインしていきたい」

医療関係者その他に差別的な言葉を投げつける人が報告される一方で、その人たちに感謝、自分も役に立ちたい、協力したいと考えている人もいるのである。大きなメディアでは報道されていない、そうした善意が確実に存在することを聞けてよかったと思う。

杉山氏は緊急時の意思統一は安定時とは異なるという話をした。全体像、先行きの見えない状況下での現状認識は人それぞれ。過度に心配する人もいれば、逆に鈍感になる人もいるはずで、その人たちをどうまとめていくのか。答えはその場、そこにいる人たちによって異なるのだろうが、リーダーはその温度差を理解し、まとめていくことになるのだろう。いつも以上に注意深さが必要とされそうである。

また、事態の安定のためには正しい情報、仕事、身体、そして心の安定が必要だという言葉にも頷いた。特に情報という部分では正しい、生の情報が大事だという。確かに今に限らず、世の中には真偽の分からない情報も多く、それに右往左往し、戸惑いを深めている人たちも少なくない。存在する情報のすべてが正しいというはずはないのである。

より緊密なコミュニケーションが求められる時代へ

イベントでは折々にオンライン上の部屋でのグループワークも行われた。初対面同士の参加者が3~4人ずつに分かれて8分間ずつ話をしたのだが、これも新鮮な体験だった。神戸、山口、鳥取、東京とリアルでは会えない同士が一堂に会して同じテーマについて意見を交わすのである。参加者の一人は今回の騒動がオンライン上で海外の友人と再会(会うという言葉を使ってよいのか悩むところはあるが)するきっかけになったと話しており、オンライン化の進展はプラスも多く生み出しているのだろうと思う。

グループワークでは世の中で起きる悪い出来事からでも学べる人、プラスの面を見いだせる人が強いのではないかという話が出たが、それは今回の件に限らずのこと。マイナスばかりを見て暗くなるより、ポジティブに考えていきたいところである。

続いてはこれから暮らしや社会、活動を立て直していく際にコミュニティや他の人との関係などについて。これらについても登壇者3人からは非常に示唆に富んだ発言が出た。すべては難しいので一部を紹介しよう。

ひとつは今後はこれまで以上に緊密なコミュニケーションが求められていくという点。

「事業、計画の先行きが不透明なときにはそれを明らかにしたいと思うもの。だが、そこでそれぞれが何を考えているのか、どのような危機意識を持っているのかなどをきちんとすり合わせることが必要。これまで以上に頻度を上げて情報、認識を共有すべき」と呉氏。

でなければ、気づかぬうちに各人の考えが乖離していってしまい、ひとつの団体として活動できなくなってしまうということだろう。そして、これは個人の人間関係でも同じだろうと思う。同じ方向を見ていたつもりでコミュニケーションを怠り、夫婦や友人間である日、大きな断絶に気づくということがあるが、社会全体が揺らいでいるときには特にその距離が離れやすくなるのではなかろうか。であれば今はもちろん、これからの不安定な時代には会話をより大事にすべきなのだろう。

これからの組織、コミュニティ運営では緊密なコミュニケーションが大事と呉氏。オンラインでいつでも話はできるが、それが表面的になっていないか、考える必要があるのかもしれないこれからの組織、コミュニティ運営では緊密なコミュニケーションが大事と呉氏。オンラインでいつでも話はできるが、それが表面的になっていないか、考える必要があるのかもしれない

デジタル対応で住宅にも変化?

これからの、社会が立ち直っていく時期にこそ、人間関係やつながりが試されるのではないか。杉山氏の話からはそんなことを感じたこれからの、社会が立ち直っていく時期にこそ、人間関係やつながりが試されるのではないか。杉山氏の話からはそんなことを感じた

そうした会話があると不測の事態が起きたときにも互いを思いやれると杉山氏。活動する団体では会合の最初にちょっとした近況報告を続けてきていた。そのため、各人の家庭や仕事の状況が共有できており、事態が起きたときにも互いを思いやることができたそうだ。

デジタル・ディバイド(digital divide、情報格差)も指摘された。オンラインで授業が行われるようになり、Wi-Fi環境やタブレット等の有無による教育面での格差が話題になったが、問題はそれにとどまらない。オンラインで他者、情報とつながれない高齢者その他の人たちの存在を考えると、いずれは一人一台なんらかの端末に繋がれるような状態が必要かもしれないと呉氏。もちろん、そのための空間も必要で、住宅も対応していくことになるのではなかろうか。

オンライン化では杉山氏が入院中でも教育を受けられる機会が生まれたこと、身体が不自由などの理由から出歩けない人たちがお見舞いに行けるようになるかもしれないことを挙げており、目から鱗だった。オンラインをリアルの代替と考えず、新しいチャンスと考えれば使い方はまだまだありそうだ。

最後に自分への戒めとしても聞いたのは、今後、事態が収束していったときの対応。今の状況は社会の全員が転んでしまったようなもの。転ぶまで、転んだところまでは誰もほぼ同じ状況だったはずだが、その際に足を折ってしまった人もいれば、何もなくただ転んだ人もいよう。次に立ち上がるときにも軽くぴょんと立ち上がってこれまで同様にすたすた歩ける人もいれば、なかなか立ち上がれない人、転んだままの人もいよう。

「回復している人はしていない人の気持ちが分からない」と杉山氏。医師だけに重い言葉である。自分は元通りに歩けても、それができない人もいる。そうした個人差を思いやりながら次の社会を考えていかないと新たな分断が生まれてしまう。そうならないよう、自分の状態だけではなく、周囲の人たちの状態も想像しながら、今、これからの社会を見ていこうと思った。

2020年 06月11日 11時00分

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June 11, 2020 at 09:00AM
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