荻窪圭の“這いつくばって猫に近づけ” 第672回
2020年07月30日 10時00分更新
いやあ、子猫はヤバいっすよね。可愛いとかそういうの越えてる。この片手に乗るほど小さくてふわふわして軽くて高い声で鳴いて、しかもヤンチャで疲れ知らずで目の前にあるもの何にでも飛びついてしまう子猫。小さいうちはいろいろと大変だけど、多少やらかしても許しちゃうくらいの存在である。大人の猫に嚙まれたり引っかかれたりすると痛いけど、子猫ならまあまあそのくらいいいじゃないかと許せちゃう。
しかも起きてても可愛いし寝てても可愛い。これはおそろしい存在だ。
春から夏に保護猫シェルターへ遊びに行くと、たいてい新参子猫がいるのでにやにやして見守りながらそんなこと思ってしまうわけだが、考えてみたらヤバい可愛いヤバい可愛いで済ませるには喉に引っかかるものがあるのである。
保護猫シェルターに保護された子猫ってことは、何らかの理由で保護しなきゃいけなかった子猫ってことなのだから。ほんとは望まれて生まれてきて、良い飼い主の元でぬくぬく育つのが一番いい。なんてことを思いつつ、保護猫シェルターで出会った子猫たちである。
子猫が引き取られてきても、あまりに小さいと他の猫と一緒にはできないし、そうじゃなくても病気の検査やワクチン接種が終わるまではケージに入れられる(冒頭写真)。でもだな、子猫なのでちょっと気が抜くとこれだ。隣のケージが気になってしょうがない。うん、気持ち分かる。互いに隙間から手を伸ばせば届くものね。
これがしばらく続いたので、ちゃんと手にピントが合うようにセッティングして、面白くてずっと見てたのだった。この子チャトラたちは兄弟なので同じケージ。
1匹だとちょっと寂しげだ。
やがて無事にワクチンを接種し、病気もなしとなるとケージから出して貰える。ケージの中でひとりぼっちだった猫も、無事おとなりさんのチャトラと仲良く昼寝。
でも、いったん外に出して貰えたのに、3兄弟の1匹のお腹の中に虫がいたのだ。外で保護された子猫だとけっこうあるわけで、虫下しの薬を飲んでお腹からいなくなるまでは再びケージで隔離である。ああ……。
でもこの子猫たちは無事保護されたわけで、こういうオープンな場所でいろんな人と出会い、良い里親さんが見つかったら引き取ってもらって、飼い猫として一生を過ごすことになれば良いことである。
ここは猫カフェじゃなくて保護猫シェルターであるから、いつ行っても会えるってわけじゃない。無事仮譲渡が決まれば引き取られていく運命にあるのだ。同じ猫がずっといると逆に心配になるくらい。
どの猫たちも無事、ずっと飼い続けてくれる良い里親さんの元へ旅立っていきますように、と祈りつつ、遊んでると引き取りたくなる気持ちを我慢するのである(うちはもう2匹いるのでこれ以上増やすのは大変なのだ)。
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