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「モデル」に登録する女性がなぜ増えているのか 3つの理由がからみあう - ITmedia ビジネスオンライン

 「はあ、また給料が下がってしまったよ」「いまの仕事以外で収入を手にしないと、マジでヤバい」――。このように感じているサラリーマンも多いのでは。実際、副業をしている人は増えていて、ランサーズが実施した調査(2021〜22年版)を見ると、副業(フリーランス)人口は1577万人で、経済規模は23.8兆円だそうで。

 過去のデータと比べると、その規模がぐーんと伸びていることがよく分かる。2015年の結果と比較すると、人口は68.3%(640万人)、経済規模は62.7%(9.2兆円)も伸びているのだ。

副業をしている人が増えている(出典:ランサーズ)

 この数字を目にして、「そーいえば、オレの友人は休みの日にコンビニでバイトをしているなあ」「ワタシの後輩は会社で働きながら、ユーチューバーをやってるよ。どのくらい稼いでいるのか、よく知らないけどね」と思われた人もいるかもしれないが、個人的に気になっているサービスがある。「モデル」だ。

 副業のマッチングプラットフォームなどを手掛けている「COLORFULLY(カラフリー)」が17年に、「週末モデル」(現在はカラフリー)と銘打ってサービスを始めたところ、登録者は右肩上がり。22年3月末時点での登録者は1万1569人で、前年度比200%である。

カラフリーに登録しているモデルが増えている

 「モデル」と聞くだけで、「華やかな世界だなあ」「スポットライトを浴びている」といったイメージを想像するかもしれないが、その仕事を手にするのは一握りである。にもかかわらず、なぜ「ワタシも、ワタシも」といった感じで、登録する人が増えているのだろうか。

企業とモデルのマッチングプラットフォームを運営している

 カラフリーの担当者に聞いたところ、3つの理由がからみあっているからではないかという。1つめは、ネット通販の需要増である。新型コロナの感染が広がって、ECサイトの画面を見ながら、ポチった人も多いはず。百貨店から足が遠ざかって、ショッピングセンターでの買い物はできるだけ控えて、頻繁に通うのはスーパーのみ。

 日本中でそんな人が急増したわけだが、会社もその動きをじーっと見ていただけではない。アパレルも化粧品も外食も日用品も、ほぼすべての業界がこぞってECサイトでの販売にチカラを入れたことは記憶に新しい。

「非接触」モデル

 2つめは、自分に似合うか、似合わないかである。例えば、ECサイトで服を購入するとき、ポチれないときがある。なぜか。「この服は自分に似合っているのだろうか」と考えるからだ。サイズは合っているのか、質感はどうなのかなど、実際に購入して、商品が手元に届くまで分からない。というわけで、こうした悩みを抱えている人は、ポチれそうでポチれないのだ。

モデルのあかりさん

 ここまで読んで、勘のスルドイ読者はこのように感じたかもしれない。「プロのモデルはスタイルがいいので、その写真を見ても、自分に似合うかどうか分からない。じゃあマネキンが着ている写真はどうかというと、魅力を感じない。というわけで、素人モデルのニーズが高まっていて、登録者が増えているのでは。ね、正解でしょ?」と。

 ほぼ正解である。しかし、点数にすると「80点」。なぜ、100点でないかというと、カラフリーのビジネスモデルにある。モデル登録者数が増えている、3つめの理由が「非接触」である。

リモフォトの事例

 冒頭で紹介したように、同社はWeb上で企業とモデルを結ぶマッチングプラットフォームを運営している。モデルはプロフィールを作成して、企業は自社広告に合ったモデルを検索して、双方がうまくマッチングすれば成立である。この事業は順調に成長していたが、急ブレーキがかかってしまったのだ。その要因は、新型コロナである。

 同社の筒井まこと社長に当時のことを振り返ってもらったところ、「モデルの仕事というのは、“接触”だらけなんですよね。撮影したり、イベントに出演したり、とにかくたくさんの人と会わなければいけません。しかし、コロナの感染拡大によって、人との接触が避けられるようになって、新規の案件が激減しました」とのこと。

モデルのAIRAさん

 これまで経験したことがない事態に遭遇したわけだが、社内からはこんな声が出ていた。「オンラインで完結できるような仕組みはつくれないか」と。そこで生まれたのが、「リモフォト」というサービスである。

 繰り返しになるが、モデルの仕事は現場に足を運んで、人と接触しなければいけない。でないと仕事ができないわけだが、カラフリーはその接触を断ったわけである。リモフォトの場合、マッチングプラットフォームで成立すれば、企業は自社の商品をモデルの自宅などに送って、受け取ったモデルはその商品を身につけ“自撮り”する(または家族などに撮影してもらう)。撮影した写真を送って、問題がなければ「お疲れさま」という流れである。

価格は10分の1以下に

 新型コロナの感染拡大によって、ビジネスパーソンの間でテレワークが広がったわけだが、モデルの世界も例外ではなかったのだ。ところで、従来のリアル型と新しく生まれた在宅型に、どのような違いがあるのだろうか。

 リアル型の場合、スタジオを手配して、カメラマンもアサインしなければいけない。このほかもスタッフを集めて、ようやく撮影日が決まる。準備が整えば撮影して、その後はレタッチ(写真を加工・修正)をして、ようやく納品である。

 一方、在宅型はモデルが決まれば、企業は撮影仕様書(写真の向きやアスペクト比、構図など)を作成して、商品を配送する。モデルはそれを受けとって、自撮り。撮影が終われば、納品である。

撮影から納品までの流れ

 リアル型はスタジオ、カメラマン、スタッフなどを用意しなければいけないので、そのぶんのコストがかかる。もちろん、在宅型は素人が撮影するので写真のクオリティーは落ちるが、そのぶんのコストは安くなる。金額にして、その差はいくらくらいなのだろうか。「スタジオをどこにするのか、有名カメラマンに依頼するのかどうかによって違ってきますが、一般的な相場でいえば、従来型に比べてリモフォトは、10分の1以下に抑えることができます」(筒井さん)

 リモフォトの場合、素人が撮影することもあって、価格は安めに設定している。5カットで2万2000円。リアル型のモデルと契約したことがある人からは、思わず「安っ!」といった言葉が出てくるかもしれない。

撮影商材

 リモフォトに登録しているモデルは「30代」が最も多く、次いで「20代」「40代」である。撮影の商材は「美容液、洗顔料などの基礎化粧品」(19.5%)が多く、以下「食品、飲料」(18.0%)、「サプリメント、健康補助食品」(17.2%)、「洋服、靴などのアパレル製品」(13.3%)だそうだ。

自撮りの研究に熱心

 さて、社長の筒井さんの話を聞いていて、気になったことがひとつある。それは写真のクオリティーである。撮影するのは素人なので、ピントがボケていたり、水平がとれていなかったり、構図がイマイチだったり、照明が不足していたりすることがあると思うが、そうしたときはどのように対応しているのだろうか。

 「納品された写真は、すべて当社でチェックしています。明らかにクオリティーが低い写真については、再度撮影をお願いすることもありますし、別のモデルさんにお願いすることもあります。ただ、そうしたことを繰り返してはいけないので、撮影にあたってガイドラインやマニュアルを用意しました」(筒井さん)

リモフォトの事例

 このサービスを始めるにあたって、実は筒井さんも同じ懸念を抱いていた。「モデルさんは写真を上手に撮ることができるのか」と。しかし、その心配は杞憂(きゆう)に終わった。どのように撮れば、自分を美しく見せることができるのか。多くのモデルはそのことを考えていて、自撮りの研究に熱心だという。

モデルのRIRIさん

 スマホをどのように持てばいいのか、アゴを上げればいいのか下げればいいのかなど。このコラムで説明しきれないほどのワザを、多くのモデルは習得しているので、納品された写真を見て、社内から「おお!」と驚きの声がよく出るそうだ。筆者も写真を見せてもらったところ、「おお!」である。

 素人が本当にこの写真を撮影したの? と疑ってしまうほどのレベルである(お世辞抜き)。考えてみると、スマホの新しい機種が登場するたびに、カメラの性能は向上している。ということは、そのぶんだけ素人でも上手に撮影できるわけだが、そのぶんだけプロのカメラマンはビクビクしているのかもしれない。

「逆スマホ」を試す

 最後に、カラフリーの担当者にスマホでも上手に撮影できる方法を教えてもらった。「逆スマホ」である。ご存じの人であれば「なーんだ、それか。いつもやってるよ」と思われたかもしれないが、筆者は初耳である。スマホのレンズがある側を下に向けて、対象物を見上げるようなアングルで撮影する。そうすることで、人やモノが立体的になって、迫力のある写真になるというのだ。

モデルのスエリリさん

 ふむふむ。ということは、筆者の記事はパソコンやスマホで読んでいる読者が多いと思うので、「逆さスマホ」で撮影すれば、迫力のある文章に見えてくるのではないだろうか。というわけで、試しにパシャリと撮影してみた。

ドイ: うーん。違いがよく分からないなあ。

編集部Uくん: ドイさん、安易にテクノロジーのチカラに頼ってはいけませんよ。じっくりと考えて、迫力のある文章を書いてください!

(おわり)

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