半導体不足などで自動車メーカーの生産が制約を受ける中、高値で推移してきた国内の中古車価格はピークを付けるどころか、最近の円安などの要因でさらに上昇する可能性が高い-。中古車オークション運営で国内最大手の ユー・エス・エス(USS)ではこうみている。
USSの瀬田大社長は14日のインタビューで、自動車の 生産台数が世界的に低迷し、新車を契約しても納期が不透明な状況が続く中で中古車を買い求める人が増えていると説明。さらに為替相場が約24年ぶりの円安水準となり、海外の顧客が「大幅なディスカウントで買える状況で引き合いが強くなっている」との声を同社から車を購入して輸出している販売業者から聞いているという。
USSは業者間の中古車オークションで国内シェア約40%を持つ。全国に19ある同社のオークション会場では新車の納期が数年かかるような人気車種などが成約単価を押し上げているという。
実際、中古車販売サイトでは トヨタ自動車の多目的スポーツ車(SUV)でメーカー希望小売価格が510万-800万円のランドクルーザーには2000万円を超える価格が付けられている。スポーツカーも人気で、トヨタのスープラや 日産自動車のGT-Rの旧モデルなども同様の高価格で取引されている。
同社の平均成約単価は2021年6月から22年5月まで12カ月連続で前年同月比で増加し、今年 2月には全国で100万6000円と過去最高を記録した。5月には名古屋会場での単価が162万円、東京会場でも147万円とともに過去最高となった。
5万円程度の低価格帯の車も争奪戦となっている。部品制約の下で車そのものが資源の塊とみられており、オークションのために確保するのも困難な状況という。瀬田氏は「下がる要因がまだ足元ではない。まだまだ中古車の引き合いは強い状況が続くと思う」と今後も単価上昇は続くとの見通しを示した。
日本の中古車の輸出先トップであるロシアについては、経済制裁の影響で現地での新車販売や輸入が停止されている中で「ロシアからの中古車需要がもっと強くなる可能性もある」と瀬田氏はみている。
中古車供給減がリスクに
米国を中心とした日本のビンテージ車への関心の強さも需要を押し上げている要因だと、瀬田氏は指摘した。米国では右ハンドル車の走行を法律で禁止されているが、初年度登録から25年以上経過した車であれば輸入することが認められており、そのため輸入解禁となった昭和から平成初期の国産スポーツカーが日本円にして1台数千万円という高値で取引されているという。
USSが5月に発表した前期(22年3月期)業績は、売上高とすべての利益が過去最高となった。今期(23年3月期)も営業利益で前期比3.7%増の431億円、売上高で同3.2%増の841億円を計画している。
同社の株価は3月以降に上昇基調を強め、5月に7年ぶりの高値を付けた。その後やや下落したものの、23日の終値ベースでの時価総額は7327億円と自動車メーカーの マツダや 三菱自動車を上回っている。
SMBC日興証券アナリストの皆川良造氏は6日のリポートで、市場では中古車価格のピークアウトが懸念されているが、新車の供給不足が継続する限りは最高値を更新し、高水準で推移すると考えていると指摘した。一方で新車供給の不足などによる中古車供給の減少などを今後のリスク要因に挙げた。
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