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暴れる再エネに水素がスタンバイ - Nikkei Business Publications

再生可能エネルギーの使いこなしに欠かせないとされる水素。パナソニックは工場などでの利用を想定し、純水素型燃料電池の実証を開始した。

 パナソニックが、純水素型燃料電池(水素FC)の本格普及に向け取り組んでいる。2022年4月15日に、自社の草津工場内の実証施設「H2 KIBOUFIELD」の運転を開始した。

 利用するのは、21年10月に発売した5kWモデルの業務用水素FCだ。発電効率は56%で、必要容量に応じて複数台を連結して使用することを想定する。小型なのでエレベーターで運搬でき設置もしやすい。レギュレーターで水素供給を1台ずつ制御すれば出力を調整できる。

 実証では、年間電力量約2.7GWh、ピーク電力約680kWの燃料電池工場に向けて、屋根を想定した面積の太陽電池に水素FC、リチウムイオン蓄電池と、3種類の電池を組み合わせて電力を供給する。

■ RE100向けシステムとして自社の燃料電池工場で実証

■ RE100向けシステムとして自社の燃料電池工場で実証

パナソニック草津工場に設置した「H2 KIBOU FIELD」は3種類の電池を組み合わせて利用する。写真手前に東海道新幹線が通っており、車窓から同敷地内での現在の発電状況を示す電光掲示板が見られるようにする
(出所:パナソニック)

24時間、電力を安定供給

 工場は夜間に検査工程を実施するなど、24時間稼働している。そこで常に必要な電力は水素FCで発電し、需要が増える日中は太陽電池の電力を優先的に使用、曇天などで不足する分は蓄電池の放電で賄う。その内訳は水素FCが8割、太陽電池が2割ほどとなる。蓄電池は夜間の水素FCや休日の太陽電池による余剰電力で充電する。

発電した電力は、同工場内にある燃料電池工場の電力需要を賄う<br><span class="fontSizeS">(出所:パナソニック)</span>

発電した電力は、同工場内にある燃料電池工場の電力需要を賄う
(出所:パナソニック)

 水素FCは連続120時間の運転ごとに冷却が必要となるが、起動回数は減らした方が機器寿命を保てる。そのため、複数台をどう制御するかが肝となる。実証ではこうした制御方法を検証し、オペレーションやメンテナンスを含めたシステムとして、23年以降の導入を目指す。

 RE100に加えて取引先からの要求など、企業にとって再生可能エネルギーの利用は事業継続の条件になりつつある。一方、不安定な再エネは安定稼働が重視される工場などでは使いづらい。パナソニックではこうした需要があるとするが、現在は水素の供給やコストが課題となる。本格的な普及は30年ごろとみる。

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