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新型コロナワクチン、しぼむ市場予測…米国で追加接種伸び悩み | AnswersNews - Answers(アンサーズ)

米国でBA.4/BA.5対応新型コロナウイルスワクチンの接種を受ける男性(ロイター)

[ニューヨーク ロイター]米国で新型コロナウイルスワクチンの追加接種が伸び悩んでいる。アナリストや投資家は、今後、年1回行われることになるであろう定期的な接種を受ける人は想定より少なく、インフルエンザワクチンを大幅に下回るのではないかと予測している。

複数のアナリストは、米ファイザーとそのパートナーである独ビオンテック、米モデルナ、同ノババックスといったワクチンメーカーがウォール街の収益予測を達成しようとするならば、価格を現在の3倍に引き上げなければならないと述べている。

インフルエンザワクチンの3分の1

ウォール街はかつて、新型コロナワクチンの2023年以降の接種回数を米国で年間1億6000万回以上、世界で6億回接種されているインフルエンザワクチンと同水準になると見積もっていた。ところが、新型コロナワクチンの追加接種キャンペーンが、特に重要な米国市場で鈍っており、その見方は変わりつつある。カイザー・ファミリー財団が最近行った世論調査では、米国成人の3分の2が新型コロナワクチンの追加接種をすぐに受ける予定がないことが明らかになった。アナリストは、米国の新型コロナワクチンの市場規模はインフルエンザワクチンの3分の1程度まで落ち込むと予測している。

米ニューヨークの医療機関グループ、ノースウェル・ヘルスで公衆衛生・疫学主任を務めるブルース・ファーバー博士は「人々は『パンデミックは終わった』と言っており、接種を受ける動機を失っている」と話す。

米国の投資会社ネビメド・キャピタルの投資家ビジャン・サレヒザデ氏は、かつてはインフルエンザワクチンと同じくらいの需要があると予想していた。しかし現在は、最新のワクチンが優れたものであるという重要な証拠がなければ、需要ははるかに小さくなるだろうと見ている。彼は「一般的な人は、効果が改善されたというサインが示されない限り、ワクチンに飛びつくことはないだろう」と話した。

米国で起源株とオミクロン株BA.4/BA.5の2価ワクチンによる追加接種が始まってから、最初の6週間で接種を受けたのは約1480万人。昨秋に始まった3回目接種では、当初、対象が高齢者などに限定されていたにもかかわらず、開始から6週間で2200万人以上が接種を受けた。追加接種は欧州でも伸び悩んでいる。オミクロン株に対応した新しいワクチンが発売されたあとも期待されたほど増えておらず、週に100万回から140万回にとどまっている。

ウォール街のアナリストや投資家は、▽ワクチンの有効性に関する新たなエビデンスが示される▽あらゆる変異株に対応可能な汎コロナワクチンが開発される▽インフルエンザとの混合ワクチンが開発される――などした場合、ワクチンの売り上げが改善する可能性があると見ている。新たな感染の波が需要に拍車をかける可能性もある。

値上げの可能性

米国の金融情報会社リフィニティブのデータによると、アナリストによる2023年の新型コロナワクチンの売り上げ予測(平均)は、ファイザーが163億ドル、モデルナが79億ドル、ノババックスが28億ドルとなっている。3社は来年のワクチンの売り上げ見通しについて言及を避けた。

ノババックスのジョン・トリッツィーノ最高商務責任者(CCO)は、「ワクチン疲れ」と「パンデミックは終わったという信仰」が足元の需要を抑制しているものの、いずれは少なくともインフルエンザと同じくらいの規模になるとの見方を示す。彼は、感染率が上昇し、入院や死亡が増加すれば、人々は追加接種を受けるようになるだろうと述べた。モデルナもこれまで何度か、インフルエンザワクチン市場が目安になるとを示唆している。

メーカーは、需要の低迷を値上げで補う可能性がある。モデルナは、もともと16.5ドルで販売している新型コロナワクチンについて、1回100ドルへの値上げを目指す可能性に言及している。ただ、米投資銀行SVBリーリンクのアナリスト、ダイナ・グレイボッシュ氏は、各社がそこまで価格を上げられるかについては懐疑的だ。

一方、米金融大手ジェフリーズのマイケル・イー氏は、新型コロナそのもの治療や、いわゆる「ロングCOVID」のケアに多額の費用がかかることがないよう、民間医療保険や公的医療保険がワクチンに現在の3倍の費用を投じることはもっともな話だと述べた。これは、モデルナなどの企業に年間30億~50億ドルの長期的な収益をもたらすことを意味する、と彼は付け加えた。

投資家は、新型コロナワクチン市場の将来性を危ぶみ始めている。特に、収益のほぼすべてをコロナワクチンに依存するモデルナ、ビオンテック、ノババックスなどがそうだ。これら3社の株価は、この1年で少なくとも3分の2下落した。ファイザーの株価も3分の1ほど安くなっている。

(Michael Erman、編集:Caroline Humer/Chris Sanders、翻訳:AnswersNews)

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