水戸市内を歩くと、人通りが多い駅前や大通りで「白ポスト」をしばしば見かける。子どもに見せられない成人向け雑誌などを入れれば、市が回収してこっそり処分してくれるというものだ。記者(27)は水戸支局に赴任するまで白ポストそのものを見たことがなかったのだが、職場の先輩たちには「知らないの?」と驚かれてしまい、世代間ギャップを感じた次第。とはいえアダルトコンテンツもデジタル化が進む中、需要はあるのだろうか。気になって調べてみた。(保坂千裕)
記者が水戸市で最初に見つけた白ポストは、水戸中央郵便局(三の丸)前の年季の入ったものだった。「子供に見せたくない雑誌はこのポストに入れてください」。雑誌…。趣旨は分かるが、大手コンビニの棚からも成人向け雑誌が締め出された今、時代錯誤ではないか? 通りがかるたびに不思議に思っていた。
最近になって、中央郵便局近くにあるなじみの居酒屋の男性店主との会話で、白ポストが話題に。「郵便局に行くたびに捨ててるよ」。ヘビーユーザーを発見してしまった。店主いわく、「縛って古紙回収で置いていたら、そういう本だけ抜かれていたことがある。近所に小さな子も住んでいるし」とのことだった。
インターネットで調べたところ、水戸市内の白ポストは、ロータリークラブなどで構成する「市青少年育成推進会議」が運営していると判明。早速、事務局の市教育委員会生涯学習課を通じて、設置の経緯や最近の利用状況を聞いた。
市が最初に白ポストを設置したのは一九六八(昭和四十三)年。成人向け雑誌などが路上に散乱しないようにと、二カ所に置いたのが始まりだ。南町の旧ダイエー前の一基は二〇一五年に撤去されたが、現在はJR水戸駅と赤塚駅の北口と南口、河和田団地など計九カ所に残っている。
アダルトコンテンツのデジタル化や一部のポストの撤去が影響し、近年の回収数は減少傾向にある。それでも、過去十年間は年千九百〜二千四百点の間を推移しているといい、依然として一定のニーズがあることがうかがえる。
直近の二一年度の回収数は二千四百三点。うち96%が成人向けの雑誌やDVDなどだった。回収数は新型コロナの流行が始まった二〇年度以降、一九年度以前より二割程度増えているが、「巣ごもり」需要でこうしたものを楽しむ人が増えたということだろうか。
目立つのは、「ビデオ・DVD」に分類される回収物の増加傾向だ。一九年度以前は全体の五分の一〜三分の一程度だったが、二一年度は千二百五十七点と半数以上を占めている。残り半数は、単行本(四百六十二点)、月刊誌(三百三十五点)などだった。
ポストには「雑誌を入れて」と書いてあるが、映像媒体が主流の座を奪おうとしているようだ。
ポストの中身は月に一度、生涯学習課の職員や推進会議のメンバーが回収。子どもの目に触れないよう、リサイクルはせずにただちに焼却処分しているという。推進会議は「回収数は減っていくと予想されるが、回収されている間は継続したい」と説明する。
世の男性たちが「エロ」への興味を失わない限り、白ポストもしぶとくその命脈を保っていくのかもしれない。
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