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〈令和4年11月の需給展望 牛肉〉外食需要への期待感も前半の商いは静か、小売厳しい、年末手当ては遅めの可能性も - 食品産業新聞社

実際に一時期はホテル・レストラン関係からヒレ、ロースの発注が増えるなど、当初は明るい見通しが出ていた。もっとも実需はそこまで強くはなく、結果的に末端も在庫を抱えたところもあるようだ。消費者の生活防衛意識の高まりで単価の高い牛肉への消費が伸び悩んでいるためで、インバウンド需要もまだ道半ばといった状態。旺盛な購買力のあった中国からの観光客が戻ってくるまでは厳しいとの見方もある。

例年11月は3週目までは需要の中だるみとなり、4週目以降から徐々に年末年始に向けた手当ての動きが入る流れとなる。それに伴い枝肉相場が上昇すると見込まれる。外食・観光需要への期待感があるものの、消費マインドの低下でどこまで実需が付いてくるかは微妙で、年末に向けた手当ても後ズレする可能性もある。したがって月間の平均枝肉相場(東京市場)は、和去A5は前年比140円安の2600円前後、同A4が同80円安の2400円前後とみられる。逆に交雑種去勢はB3で1550円前後と前年よりも80円弱高値を付けると予想する。

〈供給見通し〉

農畜産業振興機構の牛肉需給予測によると、11月の成牛出荷頭数は和牛が前年同月比1.6%減の5万1900頭、交雑種が同13.1%増の2万6千頭、乳用種が同2.5%増の3万200頭と予想している。乳用種はトータルで前年より多いものの、個体識別情報などからみると、依然としてメスの出荷増・去勢の出荷減という展開となりそうだ。輸入品はチルドが同1.6%増の1万6700tの見込みで、コスト事情から買付け数量が減らされているうえに、ここにきて入船スケジュールの遅れが悪化していることから、今月前半は市中タイトな状況となり、ホルスや交雑への代替の動きがでる可能性もある。

〈需要見通し〉

インバウンド需要や地方需要でヒレ、ロース、カタロースの回転率は9月中旬以降、マシになりつつある。そうはいっても、継続的に発注が増えている状況ではなく、「インバウンド需要はまだか?」(関東の問屋筋)いった声も。深刻なのは小売り関係で、和牛はスネ・チマキなど煮込み系の動きはソコソコあるものの、切り落としなどモモ系の動きは弱いようだ。気象庁の季節予報では11月3~4週目から北海道・東北以外では平年よりも気温が低い確率が予想されている。

全体的に引合いが強まってくるのは、鍋物需要の本格化と年末に向けた手当ての動きが出てくる4週目以降とみられる。鍋物需要を左右する野菜価格も、農水省の見通しでは11月後半は平年並みや安値水準で推移する品目がほとんどで、カタロースはこれから年末にかけて量販店も販促に力を入れる意向が強いようだ。

ただ、相次ぐ食品価格の値上がりで、店頭売価への消費者の見方はシビアで、売行き次第では、年明けの賞味期限も考慮して年末の手当てを遅らせる可能性もある。畜種も単価の高い和牛よりも交雑種の3等級などにシフトする可能性もある。輸入品の代替として需要が高まっているホルスも供給不足で各パーツ在庫はひっ迫しており、その意味でも若干高くても品質の良い交雑へ引合いが流れる可能性もある。

〈価格見通し〉

例年通り、11月の枝肉相場は年末の手当てが入りだす下旬にかけて緩やかに上昇するパターンとみられる。月前半は足元の市場環境を見ると、和牛の上位等級ほど弱気となり、交雑種はやや強気の展開とみられる。ホルスは供給量が少ないためジリ高の展開となりそうだ。このため、月間平均では、和去A5は2600円前後、A4が2400円前後、A3が2100円前後。交雑種去勢B3は1550円前後、B2で1400円前後、ホルス去勢B2で950円前後と予想する。

〈畜産日報2022年11月4日付〉

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