全線再開通から1カ月を迎えたJR只見線は、乗客が座れないほどの混雑が課題となっている。JR東日本は直近の週末と祝日に再開通区間での臨時列車の運行と増車を決めたが、抜本的な解消につながるかどうかは不透明だ。混み合うことで観光客の足が遠のくようなことはあってはならない。観光需要に応える柔軟な対策を求めたい。
JR東日本は全線再開通後の乗車実績を明らかにしていないが、沿線の観光関係者によると、全線再開通の話題性に加え、紅葉シーズンや全国旅行支援などの観光喚起策が重なり、想定以上の観光客が押し寄せているという。1日付本紙社会面に掲載された列車の写真は、つり革やつり棚につかまり立ちする多くの観光客の姿を捉えており、さながら満員の通勤列車のようだった。絶景路線に乗れたとしても、長時間立ちっぱなしでは、景色を楽しむどころではない。
本紙ひろば欄には、「せめて車両を増やし、乗客が座って只見線から景色をゆっくり楽しめるようにしてほしい」「今のダイヤでは途中下車してどこかに寄るのは難しい。観光需要を取り込むダイヤの工夫が必要だ」などの投書が寄せられている。同様の感想を抱いた観光客、地元関係者は少なくないはずだ。
こうした事態を受け、JR東日本は3日、会津若松|会津川口駅間を走らせていた列車を只見駅まで上下一本ずつ延長運転する臨時列車の運行を始めた。1日3往復から4往復となる。車両も2両から3両に増やした。ただ、13日までの土日祝日の5日間のみで、地元関係者から「平日の列車でも混雑は起きている」との声が上がる。状況に応じて平日の増便・増車も検討する必要がある。
旅行商品を造成する上での課題も指摘されている。県が旅行会社に行った聞き取り調査によると、全線再開通後のダイヤは、ツアーに利用できる列車が上下とも1本ずつしかなく、時間的にも商品をつくりにくいという。石川県の能登半島を走る観光列車「花嫁のれん」のように、土日祝日だけでも観光にちょうど良い時間帯に上下1本ずつ運行すれば需要があるとの意見や、会津川口駅辺りに中間点を設けて本県と新潟県側から折り返し運転する案なども寄せられた。
恒常的な本数増には、人員の確保や今後の観光需要の見極めなど難しさはあるだろうが、JR東日本、国、県、沿線自治体、観光関係者が知恵を出し合いながら検討を進めてほしい。(紺野正人)
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