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デジタル化で「印刷用紙」需要激減も、日本製紙の戦略商品「b7」が販売堅調なワケ|ニュースイッチ by 日刊工業新聞社 - ニュースイッチ Newswitch

デジタル化で印刷用紙の需要が減少する中、かさ高、やさしい風合いを特徴とする日本製紙の戦略商品「b7シリーズ」の販売が堅調だ。2012年度に全社で約700あった印刷用紙の銘柄は、生産効率化で約400銘柄と40%超減らした。b7シリーズは廃番の主な代替品としつつ、新しい顧客を獲得している。足元は円安が加わって原燃料などが大きく高騰しており、一層の統廃合が必至な情勢。売れ筋銘柄の在庫を厚くして、出版社の緊急重版などに対応していく。(編集委員・山中久仁昭)

日本製紙は国内印刷用紙でシェア首位。出版向けが多く、カタログやチラシ用途などもある。デジタル化による紙離れで12年度から年率約5%減っているが、b7シリーズは同約5%増。雑誌やムック、学習マンガ本、旅行ガイドブックなどに採用が広がり、販売量比率は同社印刷用紙全体の約10%で10年前の約4%から倍増した。

b7シリーズは00年ごろ投入した。印刷用紙は通常、重量単位で取引されるが、独自技術で「軽いのに厚みがある」「ページをしなやかにめくれる」紙を生み出した。他社に先駆けたかさ高紙は今や国内出版・製紙業界で一般的になっている。

書籍の厚みはそのままに重厚感を維持しつつコストは抑えたい出版社、重みで疲れることなく読書を楽しみたい読者のニーズを合致させた。

シリーズは全3種あり、基本形と白さが特徴の商品は岩国工場(山口県岩国市)、密度が低くより柔らかい商品は石巻工場(宮城県石巻市)で生産する。

同社の印刷用紙は市場縮小に伴って20年度に13銘柄、21年度に11銘柄、22年度(9月公表)に14銘柄を廃止もしくは統合し、現在は合計約400銘柄となった。統廃合に際 しては受け皿を顧客に提示しており、品質や汎用性が高く、厚み・重量でバリエーションに富むb7シリーズをその主軸に据えている。

出版科学研究所によると、紙の出版物の21年の推定販売額は1兆2080億円と、00年からおよそ半減した。日本製紙は「コロナ禍の影響もあり、先細りのペースは想定より速い」(印刷用紙営業本部)とみている。

出版物需要のピークは96年ごろ。製紙各社は顧客を囲い込むため色や紙質など細かな要望を受けてカスタマイズし、銘柄は膨大な数となった経緯がある。現在は需要減の一方で生産コストがかさみ、製紙会社はロスの削減、生産集約化が急務。工場では生産ロットの大小を問わず紙替えや洗浄などの段取りに一定の時間を要しており、銘柄統廃合の動きは続くとみられる。

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