この記事は会員限定です。会員登録すると全てご覧いただけます。
2022年後半によく読まれた記事を見ていくと、コロナ禍を越えて変化しつつある世の中が見えてきました(上半期編はこちらをご覧ください)。
1位の記事「Microsoft Teamsで発生した大規模障害 原因はECSのデプロイと判明」は「ECS」の読み間違いでびっくりした方もいたようです。「『Microsoft Teams』の障害に『Amazon ECS』が関係あるの? 」と驚いた方もいらっしゃったようですが、Amazon ECSとは別もので、「エンタープライズ構成サービス」(ECS:Enterprise Configuration Service)を指します。どちらにしても利用者の多いツールだったことからPVがうんと伸びる結果となりました。2位「AppleがSpotifyに敗れた“本当の理由”」は「iTunes」を打ち出していたAppleと、サブスクで音楽を配信するSpotifyのビジネスモデルの違いを分析する記事です。ビジネスモデルの比較はデジタルトランスフォーメーション(DX)の方向性を考える上で、視点の変え方や「狙い」の作り方のヒントとなるものでもありますから、ぜひご一読ください。
需要減でもなお「足りない」半導体/レガシー技術、レガシースキルとの決別
2022年に皆さんの生活にも大きく影響したのが、半導体の供給問題ではないでしょうか。コロナ禍によるサプライチェーンの混乱をきっかけに、あらゆる場面で半導体不足が発生しました。自動車の出荷が遅れ、ガス給湯器の供給が止まるなど、生活に関わるところでも大きな影響が出ました。データセンター向けのサーバやネットワーク装置も例外ではありませんでした。機材調達の問題でデータセンターの機器更新の計画がストップした企業もあるといいます。ハードウェアだけならばよいですが、同時にアプリケーションやミドルウェアの更改も計画していた場合は、それらの契約やコスト調整に苦慮された方もいらっしゃるのではないでしょうか。
笑い話として「売れ筋の商品は国内在庫が少ないためすぐに販売停止になってしまったが、在庫がだぶついていた不人気商材を『今すぐ納品できます』といって売るきっかけになった」とおっしゃるあるハードウェア装置メーカーの方がいたとかいないとか。モノはとても良いけれども価格の折り合いを付けにくく、廉価版ばかりが売れていたメーカーにとって、理想のパフォーマンスを追求した高級機に顧客の目が向いたことは、悪い話ではないのかもしれません。
供給過剰でも「足りない」
今年後半にさしかかると、今度は半導体の供給過剰が話題になりました。
3位「半導体が過剰供給に それにもかかわらず『供給力強化』をとるメーカーの腹積もり」は半導体製造のTSMC(Taiwan Semiconductor Manufacturing Company:台湾積体電路製造公司)における供給計画の話題です(9位「続く『半導体余り』 新工場建設に投資するCEOの“見立て”とは」は半導体は半導体でもメモリ半導体の需要に関する話題でした。
PCなどのデバイス市場が縮小傾向となり、半導体の供給過剰に陥る中にあっても、TSCMの需要は長期にわたり供給能力を上回り続けるといいます。TSMCは子会社「Japan Advanced Semiconductor Manufacturing」(JASM)を通じて熊本にロジック半導体の製造工場を建設中です。
工場はRE100を目指し、100%再生可能エネルギーで運用する計画とされています。RE100については「SBT(Science Based Targets)、CDP(Carbon Disclosure Project)、RE100とは? 大手企業が取り組む環境保護はわれわれにどう影響するか」において、ソニーグループの取り組みと共に紹介しています。
記事にある通り、2022年は半導体の流通量に世界中のさまざまな企業が一喜一憂する一年となりました。供給網の確保に向けた施策が進みますが、企業の競争は安さだけを追求しにくい状況になるのかもしれません。来年以降の動向が気がかりです。
レガシー技術、レガシースキルとの決別
DX推進の号令と共にレガシーな技術との決別がようやく進んだのも2022年らしい話題でした。
8位「『昭和100年問題』はどうなるか」は、塩漬けにされてきた昭和なシステムの遺産に関する話題でした。抜本的な対策をせず「とりあえずの応急処置」で昭和の実装を残してきたシステムは2025年に軒並み崩壊する可能性があります。大きく複雑すぎて動かせないシステムも、そろそろ塩漬けだけでは対処できなくなるようです。
レガシーな技術を使ったビジネス慣習にもメスが入ります。法令のカベによっていつまでもペーパーワークが残っていた行政手続きも、多数の法改正を経て変わろうとしています。26位「河野大臣“フロッピー行政”にあぜん、「アナログ規制」法令1900条項を全廃へ」は、デジタル大臣に就任した河野氏の発言を紹介した記事です。河野氏はもともと行政改革大臣としてこれらのルール改正の準備をしてきた当人でもあるので改革のスピードアップが期待されています。
こんなアナログで生産性が低い業務を続けるのは日本だけではないかとの議論が多い中、英米でも一部の業界でFAXを前提としたルールが残っていることを示した22位「『FAXまみれ』は日本だけじゃない 固定電話回線が大好きな英米の事情」は注目を集めました。
デジタル人材育成と同時に、非デジタル人材のリスキリングも話題となりました。企業内でもデジタルスキル獲得の機会を逸した人材をどうスキル転換するかが課題になる中、13位「無償のデジタル人材育成支援プログラムが募集中 締め切りは8月8日」にあるように行政からもさまざまな支援予算が組まれました。36位「AWS、クラウドキャリアを目指す人向けの無料リスキリングプログラムを提供開始」にあるように、ITベンダー各社も支援に乗り出しています。Googleなどが参加する、リスキリングをテーマとした団体も立ち上がりました(デジタル人材不足を解決できるか? 『日本リスキリングコンソーシアム』参加の7団体スピーチから見えたもの」)。
ランサムウェア被害に右往左往
セキュリティの話題、特にランサムウェア話題については、取り上げるたびに従来よりも多くの方が閲覧したことも2022年の特徴です。ITリーダーやビジネスリーダーの方だけでなく、多くの方が関心を寄せる話題となりました。20位「大阪急性期・総合医療センターへのランサムウェア攻撃、給食委託事業者通じて侵入か」は、またしても医療機関が狙われたこと、医療サービスの部分的な停止という社会的インパクトが大きな結果となったことで注目を集めました。
こうした中、18位「VBAマクロ無効化が効果絶大 サイバー犯罪者の攻撃手法に起きた“大きな変化”とは?」にあるように、セキュリティリスクを減らす目的でMicrosoftが、ダウンロードしたファイルに含まれるVBAマクロの実行を無効化して話題を呼びました。その後、紆余曲折があって17位「差し戻されたMicrosoft OfficeのVBAマクロ無効化機能、再び復帰」にあるように、「再び無効化」されたことも話題になりました。
●2022年下半期閲覧記事ランキング
2022年もITmediaエンタープライズをご愛顧いただき、ありがとうございました。2023年も皆さんのIT施策のヒントとなる情報をお伝えしてまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
Bagikan Berita Ini
0 Response to "需要減でもなお「足りない」半導体/レガシー技術、レガシー ... - ITmedia エンタープライズ"
Post a Comment