底堅いとみられていたロジック半導体向け直径300ミリメートルウエハーの需要が調整局面に入った。SUMCOは半導体メーカーの在庫が2021年以降で最高水準に積み上がっていると予測。信越化学工業は1月から在庫調整の影響が出てきた。世界経済が悪化すれば顧客の在庫調整が長引く恐れがあり、ウエハー大手の業績にも響きかねない。
コロナ禍の半導体不足を受け、顧客が在庫積み増しに動き、ウエハー需要は堅調に推移したが、23年1月以降、数量調整の動きが広がる。民生用電子機器の減速でメモリー需要が停滞。根強い需要があるとされたロジック半導体向けウエハーや関連材料でも在庫が膨らんできた。
信越化学の電子材料事業は20年4―6月期以来、11四半期連続で増収を記録しているが「1-3月期は22年10―12月期と比べて需要が弱含む。ウエハー市場全体で前四半期比1割ほどの調整がある」(同社)とみる。
SUMCOは22年10―12月期に前四半期に比べて増収を確保したものの、営業利益は同1・6%減の297億円と、20年7―9月期以来9四半期ぶりの減益に転じた。パソコンやスマートフォンの減速で、ウエハー需給が均衡化。値上げや数量増のペースが限定的となり、エネルギー費や労務費などのコスト上昇分をカバーしきれなかった。
ロジック半導体向けウエハーは「顧客ごとの調整度合いに強弱がある」(SUMCOの橋本真幸会長兼CEO)。車載デバイスなどは旺盛な需要が継続。調整幅はメモリー向けに比べて軽微とみられるが、ロジック向けの調整期間は半年前後になると予想する。
シリコンウエハーの世界シェアは、2社合わせて5割を超えるもよう。ただ半導体業界の国際団体SEMIは23年のウエハー世界出荷面積が前年割れすると予想する。両社は需要回復に備えて調整局面下も工場操業や設備投資を維持している。
今後の見通しについて、信越化学は「1―3月期を底に、23年後半にかけてデバイス市場回復に先行する形でウエハー需要は徐々に戻るとみている」(轟正彦取締役専務執行役員)。
SUMCOは「メモリー向けウエハーは過去との比較でも顧客在庫が相当積み上がっている」(橋本会長兼CEO)という。足元のメモリー市況は半導体需要が長期継続する「スーパーサイクル」ではなく、好不況を繰り返す「シリコンサイクル」の後退局面だと指摘。「需要が本格的に立ち上がるのに24年前半ぐらいまでかかるのでは」(同)と分析する。
半導体市場の見通しは依然として不透明感が漂う。在庫調整後の反転攻勢に備えるためにも、需要の谷を探る動きは今後も続く。
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