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値上がり続くが、夏メニューをワンランクアップで投入|「これは押さえたい ... - リテールガイド

日本フードサービス専門学院学院長 林 廣美
城取フードサービス研究所 城取博幸

6月の主なイベント、行事は梅雨入り(6月)、衣替え(1日)、イタリアワインの日(2日)、歯と口の健康週間(4日~10日)、プロポーズの日(5日)、時の記念日(10日)、和菓子の日(16日)、父の日(18日)、夏至(21日頃)、ちらし寿司の日(27日)など。

祭日や食に関係する大きなイベントが少ない月であるが、父の日パーティは盛大に祝いたい。和菓子の日ちらし寿司の日は記念日POPを付けアイテムを拡大して販売する。 梅雨入りし食中毒の季節でもあるため、惣菜部門は特に衛生管理に注意を払いたい。

2022年の家計消費で、6月に需要が伸び前年を上回ったゴールデンカテゴリーはシューマイ(109.09%)、6月に需要の変化はあまりないが前年を上回ったカテゴリーは調理パン(103.66%)、天ぷら、フライ(102.79%)。

6月に需要が下がったが前年を上回ったカテゴリーは調理食品(100.79%)、おにぎり(105.90%)、他の加工食品(104.61%)、サラダ(102.12%)、コロッケ(108.39%)、カツレツ(109.82%)、ハンバーグ(104.62%)、ギョーザ(100.00%)。

6月に前年を下回ったカテゴリーは弁当(98.54%)、寿司(95.11%)、うなぎのかば焼き(73.26%)、焼き鳥(96.70%)、惣菜材料セット(67.72%)。

商品動向は梅雨のシーズンであるため、揚げ物、ハンバーグ、シューマイ、ギョーザなどの加熱物が好まれ、弁当、寿司、おにぎり、サラダなどの生食、あるいは生食入り商品の需要が落ちる傾向が見られる。食中毒のニュースが流れると一気に需要が落ち込むため衛生管理を徹底したい。

6月は小の月(30日以下)であるため、5月、7月に比べて需要が低いように思われるが、1日分をプラスすればそれほど落ち込んでいない。むしろ5月に比べ伸びているカテゴリーもあるので注視したい。

6月からも値上げが実施される予定だ。いままでどおりの品揃えや販売方法では売上げアップはそれほど期待できない。手間をかけたり、よい食材を使い付加価値を高めたり、大型パック、盛り合わせパックの販売に力を入れたい。

天ぷら、フライ

天ぷら、フライは13カ月連続で前年をクリアしている好調カテゴリー。6月は前年比102.79%。小の月であるため消費が落ちているように見えるが、1日分をプラスすれば5月、7月とあまり変わらない。

売場づくり 

天ぷらは天ぷら盛り合わせ天丼&涼味麺の品切れがないようにしたい。フライ類は、ばら販売、単品販売(大小パック)、盛り合わせ(大小パック)の品揃え。天ぷら盛り合わせがあるようにフライ盛り合わせ、カツレツ盛り合わせ、コロッケアソートパックもあってもよい。魚フライはアジフライ、エビフライ、イカフライなどを盛り合わせて大小パックで販売する。週末には串揚げセットも販売したい。

シューマイ、ギョーザ

6月のシューマイは需要も高く、前年も109.09%と2桁近く伸びたゴールデンカテゴリー。梅雨の気温が低い時季に温かいシューマイ、小籠包、蒸しギョーザなどの蒸し物は売り時だ。

シューマイの品揃えはジャンボ肉シューマイ、レギュラーサイズの肉シューマイを販売。チルドシューマイや冷凍シューマイの価格もチェックしておくこと。消費者は価格に敏感で価格差があり過ぎると動きが悪くなる。

売場づくり

焼きギョーザの需要も前年並みであったためシューマイと併売したい。シューマイとギョーザの点心盛り合わせやバンドル販売を実施する。今年は皮に天然色素(赤、緑)を使ったカラフルなシューマイ、小籠包、蒸しギョーザにもチャレンジしたい。

調理パン

調理パン(前年比103.66%)は大の月に換算すれば5月、7月を上回る需要だ。おにぎりやバーガー、ドッグなど片手で食べられる商品の需要が伸びている。インストアベーカリーは、食パンなどの食事パン、デニッシュ、菓子パン、調理パンなどに分類されているが、甘いパンに加え、食事の代わりになる惣菜パンも積極的に販売したい。今月は生食材やフルーツを使ったサンドイッチより、加熱食材を使ったバーガー、ドッグに注力。

売場づくり

バーガー、ドッグはコロッケバーガー、コロッケドッグから始まり、牛肉パティを使った本格ハンバーガーまで198円~398円の品揃えを行う。さらに、大型バンズを使ったジャンボバーガーも名物として販売したい。価格面でファストフードのハンバーガーに対抗できるため売れる時季に力を入れて販売したい。

うな重、うな丼

うなぎのかば焼きは、昨年73.26%と大幅に需要が落としたが、前年がステイホームで動きがよかった反動と思われる。うなぎの需要は7月の土用の丑、8月の二の丑(昨年)に次ぐ3番目の需要高であるため、惣菜部門ではうな丼、うな重を早めに販売したい

売場づくり 

4月からうな丼を積極的に販売している店もあるため、早めの販売をスタートしたい。平日はうな丼、うなぎちらし、週末はうな丼、うな重、うなぎちらし、ひつまぶしとアイテムを広げて販売する。惣菜の焼き魚コーナーにおいてもうなぎのかば焼きを品揃えする。鮮魚部門との品揃えの重複を気にするのであれば卵焼きを加えればよい。

トレンド商品

涼味麺&丼セット

へぎそば&たれカツ

新潟県の十日市、小地谷名物のへぎそば、たれカツ。へぎそばは海藻の麩のりをそばに混ぜたもの。時間が経ってもつるつる、しこしことした食感が失われないのが特徴であるため惣菜売場に適している。

たれカツ丼はご飯の上に、薄めに切られた豚カツをしょうゆベースのたれにくぐらせて載せたもの。ソースカツに比べてあっさりしてそばによく合う。へぎそばとたれカツを2食トレーに盛り付け、新潟名物へぎそば&たれカツ丼として販売すれば興味を引くであろう。

いなり寿司

写真はいなり寿司専門店の五目いなり盛り合わせ。タケノコ、ワサビ菜、梅肉などの季節の野菜に加え、牛肉ごぼう、鶏肉煮などもいっしょに盛り付けてある。梅雨の時季は生寿司の需要が落ちるため、いなり寿司、巻き寿司、寿司盛り合わせなど生食材を使わない寿司のバラエティを広げて販売したい。また、27日はちらし寿司の日であるため、彩ちらし寿司ばらちらしも販売したい。

野菜の煮物詰め合わせ

10種各2個の野菜の煮物詰め合わせ。これだけの種類の野菜を原料から家庭やバックヤードで作るとすれば大変な手間とコストがかかる。売る側もお客も仕入れたり、買ったりした方が断然安い。野菜の煮物はなかなか高額で販売できないのが難点であるため、大型パックを販売したい。食べ残しても電子レンジで加熱(75℃、1分)で再殺菌できるため安全性が高まることも訴求する

注力するアイテム

商品原料の値上がりが新商品の開発にブレーキをかけているが、これから夏にかけて惣菜の売上げが上がるので、このチャンスを生かすために夏メニューの投入を強化する。

揚げ物商品はフライ系のとんかつ、メンチ、コロッケから始め気温が上がるにつれて、唐揚げタイプに変えて夏型売場にする。

ランチタイムの弁当の強化、気温の上昇につれておにぎりを強化、そして早めに冷やし中華など冷やし麺関連、さらに酢の物、サラダを。新し関連として手作りプリン、冷やしぜんざい、寒天などのデザートなどの新商品の夏型商品の投入を。

いままでの惣菜商品の概念を超えたメニュー構成や、冷麺メニューの種類のチェック、のりなしおにぎりの考案、定番リュニュアールなどの新メニューを作っての強化を。人手不足の問題もあるが、このチャンスを生かすために、外部工場などの利用を組み込むことを考える。

これから夏にかけて惣菜売場の売上げは上がっていく。ただし、異常気象などで気温の急激な上昇があれば、売れる商品が夏形に変わるので、予備の対応品揃え表を必ず作っておき、すぐに対応できるようにしておくこと。

惣菜商品の原料が値上がりするときは、ロスを限りなく少なくすることが必要だ。確実に売れるこれまでの売れ筋夏定番商品を中心に売り込むこと。これにプラス新商品を投入する。

最低10%くらいの目立つ、新しい商品で加えることが大事である。アフターコロナで世の中が新時代へ変わることが予想されている。惣菜もさらに進歩することが必要である。

食べておいしいのは当たり前、見た目の美しさ、旬の演出などワンランク上げる商品が必要だ。売上げの上がるいまだからこそ、新しい発想を必要としている。

プチ焼肉丼、うどんセット

気温が急に上がる日が2日続くと売り切れ続出になる、ランチタイムのうどんセット。どちらかというと男性向けの商品だが、女性客向けには、プチ焼肉丼をミニちらし寿司やおにぎりに変えたほうがよく売れるので考慮する。

焼肉丼は、豚肉地域なら豚肉の薄切り肉を使い、牛肉地域なら牛肉の薄切り肉の焼肉を使って作る。作り方は①焼肉のたれを少し薄めるために5~10%の水を加える。②肉に決められた分量(だいたい肉の30%前後)の①を入れてよく混ぜこんで冷蔵庫に一晩入れて漬け込む。③漬け込み肉を炒めて仕上げプチ焼肉丼にする。水を加えるのは、肉の中までたれの味を入れておいしくなじませる調理方法。

うどんは伸びにくい「ゆでた麺」を使い、天かすとネギをトッピング。冷やし麺用の「つゆ」の小袋を添付する。

小海老フライおつまみスパイシーチリソース

フライにした小エビにチリソースを付けて食べる。原料のエビは冷凍の業務用があるが、むきエビの原料に細かいドライパン粉を付けて手作りにしてもよい。

小エビはむきエビを使い、揚げたときに衣が剥がれないように、揚げ物専用のバッター粉を使うのが成功のこつ。普通のバッターだと揚げた時に衣が剥がれることがあるので注意をする。

チリソースは辛めのものより、子どもが食べられるくらいの甘めのものを選んで添付する。写真のようなトレーに揚げた小エビを盛り、中央にチリソースのカップを立てると見た目も良くなる。ただしソースがこぼれることもあるので、ふたを付けてソースがこぼれないようにするか、チリソースの小袋を選んで、これをカップの中に入れて商品化をするとよい。

この商品は小エビで商品化してあるが、初夏の旬のビールのつまみとしてイカやカニかまぼこを、同じようにパン粉を付けて商品化しても良い。

枝豆とヒジキの初夏のサラダ

枝豆の緑とヘルシーなヒジキをドレッシングであえたサラダ。枝豆は冷凍のむき枝豆を使い、ヒジキは水で戻す。千切りニンジンは麺つゆなどの薄味で軽く煮て、味を含ませておいて冷やして使うとおいしいサラダになる。

ドレッシングはフレンチ系かゴマ油入りのものを使うとよい。

ナス(茄子)の揚げびたし

よく知られた商品だが、気温が上がる時季には外すことができない必須商品。ナスは青果のナスが安ければ手作りで、高ければ冷凍のものがあるので、これを使うとよい。冷凍原料のナスを油で揚げるが、揚げ

過ぎないように高温で時間を短めに揚げて熱いうちに「つゆ」に浸すこと。それから冷やして陳列する。季節定番商品でよく売れるので必ず品揃え。つゆはだしじょうゆを薄めて使うが水ではなく、天然カツオ節を使ってだしを取り、これで薄めて作るとおいしい味が作れる。

海鮮ちらし寿司膳

気温の上がる初夏の売れ筋商品。ランチタイムの昼には小さめのプチ海鮮ちらし、夕方ピーク時には大き目のトレーで売り込む。特に週末の土日にはさらに2、3人前の大きめのトレーでジャンボサイズを売り込むこともできる。

注意点は寿司を冷蔵ケースで販売するとご飯が固くなってしまうこと。これが売れない原因の大きなものだ。冷やしても固くなりづらい寿司飯を使いたい。

作り方は、トレーに寿司飯を入れて、その上にマグロ赤身、タコ、生エビ、サーモンなどのたねを角切りにして載せ、卵焼き、キュウリなどを彩りよく散らして作る。こつは自然に散らしているように見える一方で、見本を一つ作ってできるだけ同じように材料を並べるようにして作ること。これは売場が奇麗に見えるようにするため。これも売れるこつの1つである。

甘辛ピリ辛牛蒡

ここ数年惣菜で人気になっている商品。ビールのつまみはもちろんのこと、ご飯のおかずになる、便利な惣菜として人気がある。

売れる決め手はゴボウを油で揚げた後に、絡める甘辛いたれの味。手作りは難しいたれなので業務用のたれを選ぶのが売れる最大のこつ。またゴボウを揚げた後、時間がたつとかりっと揚がった衣が、ふやけることが多く売れなくなることが多い。そこで少しでもかりっとした感じが長続きする衣の粉を、メーカーなどからの情報を探すとよい。

油で揚げるときの温度を165℃に下げて、長めにじっくり揚げるようにすると、かなりかりっとした状態の時間を延ばすことができるので試してみる価値がある。

決め手は「売れたら次を素早く作る」を繰り返すこと。惣菜の基本を実行し、繰り返すことが売上げアップの基本となる。

街中華本格黒酢あん「八宝菜」

八宝菜とは使う材料を宝とみなして、8種類の材料を使って作るメニュー。酢豚と共に人気メニューとして知られているだけに、他店に負けない商品として売り込みたい。

タケノコ、ニンジン、シイタケ、イカ、豚肉、むきエビ、キクラゲ、これにウズラ卵の8種類が材料となり、最近人気となっている「黒酢」を使ったあん(中華ソース)で炒めあえる。

最近では冷凍食材を使うケースもあるがタケノコ、ニンジンの食感が悪くて売れないことも多く、冷凍野菜を使うときは、ニンジンは生を使ってゆでてから使い、タケノコはゆでタケノコの原料をカットして使うことを勧める。

八宝菜が売れないときは、野菜の食感が悪いことが原因となるので大変でも生ニンジン使うようにする。

夏唐揚げと明太海苔弁当

なぜか「鶏唐揚げ」は夏にはニンニク風味、冬にはショウガ味といわれている。夏はスタミナ、冬はショウガで体を温めるという漢方薬の考え方からきているようだ。

これだけだと普通なので、ひと手間かけて唐揚げをおいしくレベルアップしたい。揚げた後に風味の良いゴマ油をスプレー(油用のもの)で吹きかけて、風味を生かすと新しい味と香りの唐揚げができる。

この唐揚げをメインにして、サブのアクセントがご飯の脇にある(紙カップ)練り明太子である。これでおいしくご飯を食べることができるので人気を出すことができる。箸休めはきんぴらごぼうとポテトサラダで締めくくる。

強いメインのおかずだけでは人気の弁当にすることが難しい時代になったようだ。おいしい和風煮物、のりのつくだ煮などの工夫をすることで新しい強力な弁当商品が開発できる。

骨まで柔らかい小鯵南蛮漬け

昔からの初夏の味として人気の甘酢漬け。冷凍の小アジがあるのでこれを使う。なぜ小アジを使うのかというと、少し大きくなると内臓やゼイゴ(尾のところにあるウロコ)を取るなどの手間がかかるので小アジを使う。

昔からの調理法として、骨の柔らかな南蛮漬けは、甘酢の味仕上げで子どもも食べてくれるので、カルシウム補給のメニューとして買い求めることが多い。また酢を使っているので販売期限が長めでロスを少なくできる利点もある。

それでも小さい小アジばかりではない。少し大きな魚の場合は、骨を柔らかくするために油の2度揚げをして、骨を柔らかく揚げて仕上げ、さらに大きめの魚は前日に2度揚げをして翌日に3度揚げをして骨を柔らかくする。

小アジが焦げないように油の温度を165℃にするなど工夫をする。食べて骨が柔らかければヒットするはずだ。

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