昭和平成世代に愛され続けた実力派ロングセラー車種が、国内自動車市場から退場する。日本を代表するFFミディアムセダン「トヨタ・カムリ」がそれだ。23年4月初旬、「トヨタの上級FFセダン、カムリの国内生産が2023年12月下旬にも終了する」との報道が駆け巡った。トヨタ自動車も正式に発表し、国内販売も終えることが確定した。人気も高かったはずのカムリはなぜ消えるのか、小沢なりに考えてみた。
だが小沢としては、「ええ? なぜ“今さら”カムリまで辞めるの?」である。確かに最近は未曽有の変革期ということもあってか、2022年に日産自動車が「マーチ」「シーマ」「フーガ」、トヨタも「レクサスCT」の国内販売をやめている。だがいずれも、カムリほどの存在感は既になかったし、そもそも今までカムリは国内で特別扱いされていた印象もあった。
北米では15年以上、連続で北米販売ナンバーワンなのだが……
もちろん22年のカムリの国内販売は、5750台と振るわない。1カ月平均では500台を切る。しかし、21年は落ちたといっても年間1万台を超えていたし、今後新型コロナウイルス禍の反動もあって回復する余地も少しは残っている。
なにより国内におけるFFセダンの没落は今に始まったことではない。実は1980〜90年代、国内にはカムリの兄弟車とも言うべきトヨタのFFミディアムセダンが4車種あったが、今やカムリを残してすべてなくなっている。一番古いのが、57年生まれの日本を代表するファミリーセダンである「コロナ」で、次は70年生まれのコロナの兄弟車「カリーナ」。80年にカムリが生まれ、その兄弟車として「ビスタ」が2年後に誕生している。
しかしミニバンや多目的スポーツ車(SUV)が台頭し始めた2000年以降、01年にコロナが11代目、カリーナが7代目でシリーズ終了。2年後の03年には、ビスタも5代目で消えている。既にFFミディアムセダンの国内需要は先細りしていたのだ。
では、なぜカムリだけが2000年代に入り、20年以上も生き続けたかというと理由はまず2つ考えられる。なんだかんだでFFミディアムセダンの国内需要が一定数あったのとグローバル展開力だ。
もともと「CAMRY」の語源は、日本語の「冠」から来ている和風のネーミングだし、初代はクーペの派生車種たる「セリカカムリ」として誕生し、さほど気合が入っていた印象はない。しかしカムリはFFベースで車内スペース優先の海外向けキャラだったからか、87年にオーストラリアで初めて海外生産され、当時珍しいFFV6エンジン搭載の「カムリプロミネント」が誕生。翌年にはトヨタのケンタッキー工場で作られ、その後前述したように米国で快進撃するのだ。
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