ドイツ連邦参議院(上院)は5月12日、「エネルギー転換のデジタル化の再始動法」(通称「スマートメーター法」)を承認した。同法律は、現在のドイツでのスマートメーターの導入義務規定の修正に必要な、エネルギー産業法や検針地点運用法などの一連の関連法の改正を一括で行うもの。近日中に公布の予定で、公布の翌日から施行される。
スマートメーターを活用することで、電力の需給調整が高度化され、エネルギーの効率的な利用や電力網の負担軽減の効果が期待されている。ロベルト・ハーベック経済・気候保護相は法律案の閣議決定後の1月11日の記者会見において、再生可能エネルギー(再エネ)の拡大、電気自動車やヒートポンプの普及には「発電と電力消費の間のインテリジェントなリンクが必要。そのために、スマートメーターとエネルギー転換のデジタル化が必要だ」と述べた。
法改正により、現行法でもすでに部分的に導入されているスマートメーターの設置義務に関する規定が修正され、以下のように普及を促進する内容になる。
スマートメーターの設置が必要なのは、電力消費量が年間6,000キロワット時(kWh)を超える需要家とヒートポンプや電気自動車用充電器などを設置している需要家、および、設備容量7キロワット(kW)を超える再エネ発電設備または熱電併給設備の運営者。段階的に最低設置率を上げていく普及ロードマップが法定され、スマートメーター設置義務がある場所のうち、10万kWhを超える需要家と設備容量100kWを超える上述の設備運営者に対しては、2028年末までに20%、2030年末までに50%、2032年末までに95%にスマートメーターを導入する。設置が必要とされるその他の需要家と上述の設備運営者には、2025年末までに20%、2028年までに50%、2030年までに95%の設置率を定めた。
スマートメーターの運用コスト負担額(注)は、多くの一般家庭の場合、現在より低額の年間上限20ユーロが適用になる。
全ての電力供給会社は、2025年から、市場連動型の電気料金プランを提供する必要がある。これにより、需要家は電力消費のタイミングを、発電量が多く、電気代が安い時間帯にシフトすることができる。また、需要家はスマートメーターを活用し、自らの電力消費行動を分析することで、自分の電力使用パターンに合った電気料金プランを見つけられ、電気代の削減が可能になる。
(注)ドイツでは電力メーターの運用コストの一部を需要家が負担する。
(宮林和夢、二片すず)
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