再生可能エネルギーの普及を背景に需要が落ち込むゴールデンウイークの電力市場は連日、日中の価格が0.01円/kWhをはう「鍋底型」となった。ある意味、これは市場の価格シグナルが機能していないことを示している。出力制御や下限価格の設定のような市場の人為的操作は、技術やビジネスの発展を阻害する。
今年のゴールデンウイークの日本卸電力取引所(JEPX)スポット市場は前回記事(「GWは東京エリアも? 再エネは出力制御せず『マイナス価格』で調整せよ」)で予測した通り、天気が崩れた5月6・7日を除いて連日のように「鍋底型」の価格推移を示した(図1)。
4月の中部エリアに続いて、GWは東京や関西エリアでも初めての出力制御があるかどうかが注目されたが、発令されることはなかった。
ただ、東京電力パワーグリッドと関西電力送配電は、GWを意識した出力制御に備えた準備や整備状況について事前に公表していた。
オランダ電力市場では一時、マイナス150円/kWh
両エリアは国内第一・第二の需要地であるだけに、万が一にも停電のような不手際は許されない。それゆえ、可能性に備えた事前の調整は必須だったと思われる。最終的には、自社が保有する火力発電を絞り込み、中部エリアを含めた3大都市圏はGW中の出力制御を回避できた模様だ。
ちなみに、4月30日(日)渡しのオランダのDay Ahead(スポット)市場では一時、-99.60ユーロ/MWh(約-150円/kWh)という大幅なマイナス価格がついた(図2)。
もともとオランダは風力発電が盛んな土地柄である。そのうえで、この時期に太陽光発電の発電効率が高まるのは日本と同じといえる。
そこで、ENTSO-E(欧州系統運用者ネットワーク)が提供するプラットフォームを用いて、日本のGWに該当する4月28日~5月2日の5日間を期間指定してグラフを描き出してみた(図3)。
すると5日間の中でマイナス価格がついていたのは、4月30日(日)の1コマ(1時間単位)だけだった。この大幅なマイナス価格が前後の時間帯や日々の通常価格とかけ離れた“異常値”であると同時に、すぐさま“正常”な価格水準に修正される様子も見て取れる。
この先は日経エネルギーNextの会員登録が必要です。日経クロステック登録会員もログインしてお読みいただけます。
日経エネルギーNext会員(無料)または日経クロステック登録会員(無料)は、日経エネルギーNextの記事をお読みいただけます。日経エネルギーNextに関するFAQはこちら
Bagikan Berita Ini
0 Response to "GWの「鍋底相場」が映す電力市場の機能不全|日経エネルギーNext - 日経BP"
Post a Comment