生成AIブームに乗った米エヌビディアの驚異的な業績見通しを受け、他の半導体企業にも期待が集まった。米AMDはAI向け半導体の新製品を発表したが、用途や市場投入時期の面でウォール街の失望を招いた。他の半導体企業はAIの発展で他の需要も高まると期待するが、生成AI向けはエヌビディア支配が続きそうだ。

エヌビディアは生成AI用途で圧倒的な存在感を持つ(写真=ロイター)
米半導体大手エヌビディアは5月24日、過去に例がないほどの大幅な売上増の見通しを発表し、業界に衝撃を与えた。それから3週間、ウォール街は、このところの人工知能(AI)ブームの恩恵にあずかりそうな半導体企業が他にないかと、血眼になった。
しかし、その候補探しが行われている間にも、エヌビディアと他の半導体企業との隔たりは拡大する一方だった。
エヌビディアに追いつこうとする他社の努力の中で特に期待されていたのが、米半導体大手AMDだ。同社は6月13日、「MI300」というAI向け半導体の新製品を発表した。
この製品シリーズには、画像処理装置(GPU)だけでなく、汎用の中央演算処理装置(CPU)や、両処理装置にデータを提供するメモリーも組み込まれている。GPUは本来ビデオゲーム用に設計された半導体で、エヌビディアの成功の元はこの製品にある。
半導体企業は、生成AIで用いられる大規模モデルの学習と適用に必要な大量のデータを最も効率的に処理する方法を模索する中で、様々な技術を組み合わせる努力をしてきた。上述のような半導体製品設計は、その表れだ。
AMDは、今回の新製品の性能は素晴らしく、エヌビディアの主力製品「H100」をもいくつかの面で上回ると主張した。しかしAMDは、この半導体の採用を検討している潜在顧客に言及することはできず、この製品はAIの推論を扱うことができると強調するにとどまった。
つまりこの製品は、事前学習という要求水準の高い処理よりも、事前学習済みのAIモデルに対して適用されるということだ。エヌビディアの売上高が急増している背景には、この事前学習への需要がある。
また、AMDによると、新製品の量産開始は2023年10~12月期になるとのことだ。
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