がんの治療費のために貯蓄を取り崩し、食費や教育費の支出も控える――。がん患者とその家族にとっての、経済的な負の影響が注目されています。乳がんと診断され、家計に不安を抱えながら治療に向き合う女性を取材しました。
この春、乳がんと診断された40代の女性は、会社員の夫と小学生の子ども1人と暮らす。
非常勤で働いており、夫の収入と合わせても、家賃などの生活費で毎月ぎりぎりの状態だった。そこに今、がん治療に伴う出費がのしかかっている。
診断後、女性は片方の乳房を摘出する手術を受けた。加入していた民間の医療保険から入院手術に対する給付金が出たが、術前に受けた遺伝子検査などによる医療費や予定外の出費が重なりすぐになくなった。
医療費が高額になった場合に自己負担を減額できる「高額療養費制度」を申請し、月の自己負担限度額は5万7千円ほどになった。しかし、毎月その額を払い続けるのは厳しい。
治療以外にも出費はかさむ。術後の抗がん剤治療に備えて購入したウィッグは、付属品も合わせて6万円だった。住んでいる自治体から2万円の補助が出るものの、支給までは時間がかかる。
医療費が心配 主治医に尋ねると
手術後に働けたのは1週間だ…
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