部屋自体に防音処理を施し、楽器の演奏などが24時間できる「防音賃貸マンション」が首都圏で増えている。コロナ禍で生活様式が変化したことや、ゲームのネット配信など新たな需要が生まれていることが背景にある。(原田晋也)
◆割高も入居待ち急増
「アットホームでゆとりある環境でグランドピアノが弾けるのは、生徒さんにとってメリットだと思う」。江東区の防音賃貸マンション「ミュージション門前仲町」でピアノ教室「HearTone(ハートーン)」を主宰する
教室を始めたのは2018年。20年に新型コロナ緊急事態宣言でステイホームが呼びかけられた頃から急激に生徒数が増え始めたため、今年6月には別の階にもう1部屋を借りた。都心のピアノ教室は部屋の中に組み立て式の防音室を置く形式が多いが、ここでは窓もある普通のワンルームとほぼ同じ環境で演奏できる。
「ミュージション」は不動産会社「リブラン」(板橋区)が運営する。
東京を中心に31棟734戸あり、うち約半数がコロナ禍以降に完成した。家賃は相場より3割ほど高いものの、満室が続く。入居待ちの人数は20年8月の435人から23年9月の4064人に急増した。ミュージション事業部の三ツ口拓也次長は「コロナ禍を機に、テレワークする人など、楽器以外の需要がぐっと増えた」と話す。
◆高速インターネットも整備
さらに、新たな需要も生まれている。リブランが昨年11月、ユーチューバーやゲーム配信者向けに、防音に加えて高速インターネット環境を備えた物件を「ゲーミングマンション」として売り出したところ、3カ月で満室になった。
実際に物件に住み、アクションゲーム「原神」の実況を配信しているモスラメソさん(33)は「これまでは外の音が配信に入り込んだり自分の声が近隣の迷惑になったりしないか常に気にしていたが、今は遠慮なく100~120%の声が出せる」と話す。
不動産大手も動いている。マンション建設の長谷工不動産は、音楽製作者や配信者向けの防音賃貸マンション「TRACK(トラック)」を東京・両国と川崎・向ケ丘遊園に建設した。担当者は「以前も音大周辺に防音物件を建設したことはあるが、今回は新しい需要を見据えた。今後も拡大を検討している」と話す。
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