村田製作所が、業績低下に直面している。2024年3月期の純利益は2250億円と2期連続で減益となる見通し。10月31日には従来予想を上方修正したものの、3141億円の純利益をたたき出し、過去最高となった22年3月期までの勢いはない。要因の一つが、売上高の4割超を占める「屋台骨」のコンデンサー事業、とりわけ稼ぎ頭である積層セラミックコンデンサー(MLCC)の変調だ。業績拡大をけん引したスマートフォン向けの需要が低迷するなか、どう活路を見いだすのか。村田製作所の中島規巨社長に聞いた。
中島規巨[なかじま・のりお]氏
1961年大阪府枚方市生まれ。85年同志社大学工学部卒業後、村田製作所入社。2006年モジュール事業本部通信モジュール商品事業部事業部長、13年取締役常務執行役員などを経て、20年6月から現職。(写真:柴仁人)
足元の需要動向を教えてください。
中島規巨社長(以下、中島社長):製造設備の稼働率は80%程度。(米アップルのiPhoneなど)北米のスマートフォンが季節要因から好調で、稼働率を押し上げてきました。ただ、調整局面は底打ちしましたが、需要回復への力強さが感じられません。新型コロナウイルス禍前の旺盛な需要に戻るのはまだ先でしょう。
電気自動車(EV)需要の動向はどう見ていますか。近年のMLCC事業を下支えしてきた一方、一大市場である中国では景気減速も懸念されています。
中島社長:EVをはじめ自動車向けの需要は堅調。中国の不透明なマクロ経済のなかでも、同国のEV需要は今後も底堅いと見ています。今の市場は群雄割拠で多数のEVメーカーがひしめいていますが、この数年で淘汰され、中国・比亜迪(BYD)など有力企業に集約されていくでしょう。
ただ、一口に自動車向けと言っても、MLCCの価格には高低が出てきそうです。「パワートレイン」と呼ばれる動力に関わる領域は、(乗員の安全に直結するため)高い信頼性が求められる。当社が強みを発揮しており、こちらは安泰でしょう。一方、車内の情報表示などそれ以外の領域では、そこまで高性能のMLCCでなくともよいケースがある。中国地場のMLCCメーカーとの厳しい価格競争も一部で生じてきます。
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