[モスクワ 21日 ロイター」 - 石油輸出国機構(OPEC)が加盟国とロシアなどの非加盟国で構成する「OPECプラス」は、今月ウィーンで閣僚会合を開く。有力な産油国が一段の減産を検討する一方で、ロシアは大胆な変化を支持するインセンティブをほぼ失っている。エネルギー収入が順調で、原油価格は同国の想定より高く、財政赤字も縮小しつつあるからだ。
OPECプラスの関係者3人によると、今回の会合では減産をさらに加速するかどうかが検討される。原油価格は9月下旬以降、16%低下している。米国の原油生産が過去最高の水準を維持する一方で、世界最大の石油輸入国である中国を中心として需要増大に疑問符がついているためだ。
ロシア政府に近い情報提供者は匿名を条件に、間近に迫ったOPECプラス会合について、「大胆な変更に踏み切るべき理由は特に見当たらない」と語った。また、閣僚が直接顔を合わせればサプライズもあり得ると付け加えた。
サウジアラビアとロシア、その他のOPECプラス参加国は、2022年後半に開始した一連の措置として、世界需要の約5%に当たる1日あたり516万バレルの減産を公約している。
<「好都合な価格帯」>
ロシアのプーチン大統領は、西側諸国が主要国に対するものとしては過去に例を見ない厳しい制裁を科したにもかかわらず、ロシアは耐え忍ぶどころか、力強く成長していると主張する。制裁の1つが、同国産原油について設定された1バレル60ドルという上限価格だ。
ロシア経済は2022年には後退したものの、今年は米国や欧州連合(EU)よりも高い約3%の成長を見せると予想されている。
今年はグローバルな原油価格が堅調で、ロシア政府が「闇のタンカー」船団の活用を広げた結果、ロシア産原油の大部分は、西側諸国が設定した上限価格を超えて取引されている。
モスクワを拠点に活動する独立系の石油アナリスト、アレクセイ・コーキン氏によれば、原油価格は「非常に快適な」水準から「ちょうどいい快適さの」水準まで下落したという。
「だから、(ロシアとしては)特に動く必要はなさそうだ。現状のままの生産制限というのが妥当な選択肢だ」とコーキン氏は言う。
ロシアは今年、課税算定に使うウラル原油の価格を1バレル4788ルーブル(53.36ドル)と想定している。
米国がタンカーの船主に対して初めて実施した制裁を背景に運賃が上昇し、グローバル市場での原油価格が低下する中で、17日のウラル原油価格は西側諸国の設定した上限価格1バレル60ドルを下回った。
それでも価格は1バレル5000ルーブルを上回り、21日には再び1バレル60ドルを超えた。
9月に発表された来年の予算案では、ブレント原油価格をロイターの調査に基づく予想よりも悲観的な1バレル85ドル、ウラル原油価格を1バレル71.30ドルと想定している。
<ロシアの歳入への影響>
原油価格上昇とルーブル安の進行、四半期ごとの税収計上があったことを受けて、10月のロシアの財政赤字はさらに縮小した。
今年1─10月の財政赤字は、国内総生産(GDP)の0.7%に当たる1兆2400億ルーブル(134億5000万ドル)となった。2023年通年で2兆9300億ルーブル、対GDP比で2%という当初見込みに比べるとはるかに良好だ。
10月の石油・天然ガスによる歳入は前年比27.5%の増加となったが、1-10月では26.3%の減少となっている。
ただし、国家予算全体に占めるエネルギー売却収入の比率は、かつては50%を超えていたものの、現在では急激に低下している。
エネルギー収入の比率は、2022年には歳入総額の41.6%だったが、今年1─9月の原油・天然ガスによる歳入は、歳入総額19兆7300億ルーブル(2200億ドル)のうち28.3%にとどまった。
ロシアが天然資源に関して超大国であることに変わりはない。
ロシアは穀物輸出の点でも世界最大で、肥料やその他の日用品も輸出している。ロシアの歳入に占めるエネルギー以外の収入源は付加価値税、超過利得税3000億ルーブル、その他の手数料などだ。
モスクワのBCSワールド・オブ・インベストメントでシニアアナリストを務めるロナルド・スミス氏は、「ロシアの国家予算は、原油生産量よりも、原油価格とルーブル相場の変動による影響を受けやすい。原油価格が1バレル75-100ドルの範囲にある限り、ロシアとしては現状の原油生産目標を尊重することになるのではないか」と語る。
(翻訳:エァクレーレン)
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