アパレル通販大手のZOZO(ゾゾ)が2021年3月期の本決算を発表した。
撮影:今村拓馬
2019年9月にカリスマ創業者の前澤友作氏が退任、同年11月のZホールディングス(ZHD)傘下入り後、新たな経営体制で初の通期を終えたアパレル通販大手ZOZO(ゾゾ)。
4月27日に発表した2021年3月期(2020年4月1日〜21年3月31日)本決算は、新型コロナ感染拡大による「デジタルシフト」の影響を大きく受けた結果とはいえ、前澤社長時代を大きく上回る数字がずらりと並んだ。
創業者の独創的な発想と、成長の基盤を築いた約20年におよぶ経営努力の価値が揺らぐことは決してないが、前澤社長退任でけん引力を失ったZOZOは行き詰まるとの見方が少なからずあったなか、新生ZOZOを再成長路線にのせた新経営陣の手腕は高く評価されるべきだろう。
具体的な数字を見ていくと、売上高は前期比「17.4%増」の1474億円、営業利益は同「58.3%増」の279億円、純利益は同「64.5%増」の188億円だった。いずれも期初計画を上回った【資料1】。
【資料1】連結業績の概要。
出所:ZOZO 2021年3月期 決算説明会資料
前期比6割増の営業利益が実現した理由は、新型コロナ感染拡大を受けた行動制限でネット通販が伸びた(=ZOZOの視点から言えば、商品受託手数料が増えた)のがやはり一番だろう。取扱高が増えたことによる固定費・変動費の増加は当然として、それを差し引いても80億円以上利益を積み増すことに成功している【資料2】。
【資料2】営業利益の増減分析。
出所:ZOZO 2021年3月期 決算説明会資料
また、上の【資料2】について良くも悪くも気になるのは、前澤社長時代の2019年3月期(第3四半期)に本格運用を開始した広告事業の利益推移だ。前期(2020年3月期)の粗利益は13.2億円増で、今期が15.2億円増。
下の【図表3】にあるように、年間購入者数はこの1年で100万人以上増えている(827万人→948万人)だけに、広告事業も運用次第で大きく伸ばす余地があるのではないか。
【資料3】年間購入者数の推移。2021年3月期第4四半期は948万人。
出所:ZOZO 2021年3月期 決算説明会資料
売上高と営業利益の推移を示した下の【資料4】【資料5】を見れば一目瞭然だが、前澤社長の退任前後(2020年3月期)には停滞感が見え隠れしたものの、業績は「右肩上がり」の成長軌道を回復した。
【資料4】売上高の推移(2016年3月期〜21年3月期)。
出所:ZOZO 2021年3月期 決算説明会資料
【資料5】営業利益(ブルーの棒グラフ)・営業利益率(グレーの折れ線グラフ)の推移(2016年3月期〜21年3月期)。
出所:ZOZO 2021年3月期 決算説明会資料
売上高は5年前のほぼ3倍、営業利益はおよそ2.5倍。「ZOZOSUIT(ゾゾスーツ)」などプライベートブランド(PB)商品の開発・宣伝に大金を投じたために一時急落した営業利益率も、それ以前の水準(10%超)まで回復した。
そして、右肩上がりの業績は来期(2022年3月期)も維持される、というのが現経営陣の見通しだ。
2022年3月期も好調維持の見通し
下の【資料6】にあるように、売上高は前期比「10.3%増」の1626億円、営業利益は同「8.3%増」の478億円、純利益は同「7.7%増」と予想。いずれも今回通期決算にはおよばないものの、野心的な数字と言える。
【資料6】来期(2022年3月期)の通期連結業績予想。
出所:ZOZO 2021年3月期 決算説明会資料
なお、先に指摘した広告事業の売上高については前期比「19%増」の49億円と見通している【資料7】。
【資料7】来期(2022年3月期)の事業別目標。なお、従来の「PB事業」「MSP事業」は「買取・製造販売」に区分変更となる。
出所:ZOZO 2021年3月期 決算説明会資料
本日(4月28日)、親会社のZHDも本決算を発表する予定。
(文:川村力)
売上高2割増、営業利益6割増。新生ZOZO・澤田体制が1年半で「高成長軌道」を回復、来期見通しはさらに1割増 - Business Insider Japan
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