中国共産党中央委員会と国務院は4月10日、「全国統一大市場の建設加速に関する意見」を発表した(文書は3月25日付)。
中国の新たな発展局面(注)構築の基本となる柱とすべく、また内在的要求に基づき、内需に立脚した循環の促進や、制度の設立・廃止の併用、市場の活用と有効な政府介入の実施、政策・ルールの一本化などを原則として、全国統一大市場の建設を目指す。
2021年3月の第13期全国人民代表大会第4回会議で決定した「第14次5カ年(2021~2025年)規画と2035年までの長期目標綱要」(2021年3月9日記事、3月10日記事参照)にも、国内統一市場の建設が盛り込まれている。
意見では、主な目標として(1)国内市場の高効率で滞りのない流動と規模の拡大、(2)安定し、公平で、透明で、予見可能なビジネス環境の構築、(3)市場の取引コストのさらなる引き下げ、(4)科学技術イノベーションと産業のレベルアップの促進、(5)国際競争・協力への参画における新たな優位性の育成の5点を挙げている。
これら目標の達成に向けた具体的措置として(1)市場の基盤となる制度・ルールの統一強化、(2)市場インフラの高い水準での連結、(3)統一された要素市場、資源市場の構築、(4)商品市場とサービス市場の高いレベルでの統一推進、(5)公平で統一された市場の監督・管理の推進、(6)市場での不当な競争や政府による市場介入行為のさらなる規範化、(7)目標達成に向けた体制などの整備といった項目がある。
各項目の内容として、財産権保護制度の整備、土地、労働力、資本、技術・データ、エネルギーなどの統一市場の整備、市場の管理・監督に関するルール整備や法執行強化、独占行為の禁止や不正競争行為の取り締まり強化、地方保護主義の打破などが挙げられている。
外資系企業に直接的に関係があるものとしては、以下の内容がある。
具体的措置の(1)で、市場参入規制を「市場参入ネガティブリスト」(2022年4月7日記事参照)に統一し、各地方政府・各部門による独断のネガティブリスト発表禁止をあらためて強調した。
(4)で、中国の標準策定に当たり、外資系企業と中国企業との公平な参加を促進し、標準策定・改正の透明度と開放度を向上させるとしている。
(5)で、外資系企業や外地企業(当該地域以外に所在する企業)を差別的に扱う地方保護的な各種優遇政策を一掃するとした。
清華大学中国発展規画研究院の董煜執行副院長は「意見は統一大市場の建設に向けた基本的なロードマップをはっきりと描き出した」とし、その内容は「高いレベルで相互につながった市場インフラを柱とし、要素、資源、商品、サービスなどの統一された市場構築を重点として、公平で統一的な市場監督・管理によって保障され、効率的なルールと公平な競争がある、十分に開放された全国統一大市場の建設」と説明した(「経済日報」4月14日)。
北京大学国民経済研究センターの蘇剣主任は、現在の市場は主に地方保護主義などによる地域性の分断と、同一市場分野でも企業によって待遇が異なる業種性の分断という2つの大きな分断に直面しているとし、「全国統一大市場が直面する一番の問題は、これらの既に存在する市場の分断にどう対応するかだ」とした(「中国経済時報」4月14日)。
(注)2020年4月の中国共産党中央経済委員会第7回会議で、習近平総書記が提起したとされる、国内大循環を主体とし国内と国際の2つの循環(「双循環」)が相互に促進する発展局面。
(河野円洋)
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