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ヤマト運輸でタブーの小型荷物を実現 大企業流のDX推進法 - 日経クロストレンド

花王でDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する生井秀一氏がゲストを招き、企業変革力を身に付ける方法について対談する本企画。第4回はヤマト運輸リテール事業本部武蔵野主管支店の齊藤泰裕主管支店長を招き、大企業が持つ長年のタブーを打破する方法や企業変革術について議論した。※本企画は、ニッポン放送のラジオ番組「ラジオ情熱ラボ~ビジネスの先に~」(毎週日曜日21:00~21:20)との連動企画です。

齊藤泰裕氏(右)
ヤマト運輸リテール事業本部 武蔵野主管支店 主管支店長

ヤマト運輸入社後、第一線の支店長を経て商品開発担当として宅急便コンパクト・ネコポスなど数々のサービスを生み出す。その後、ヤマトホールディングス経営戦略担当を経て、ヤマト運輸の商品開発責任者を務め、EC事業の立ち上げを主導し、2021年4月よりEC事業本部にてECエコシステムの実現に資する事業戦略・商品開発を推進。22年2月より現職。


生井秀一氏(左)
花王 DX戦略推進センターECビジネス推進部 部長

花王カスタマーマーケティング入社、リアル流通企業の企画営業職を約15年間担当。花王に出向し、ヘアケアブランドのメリットシャンプーのマーケティングを担当後、Eコマースの営業マネジャーを担当。2018年に全社DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するプロジェクト型組織の先端技術戦略室に在籍。21年DX戦略推進センター設立、DX戦略推進センターECビジネス推進部でEコマース戦略を担当。

生井 秀一(以下、生井) 齊藤さんがDXを推進する大きなきっかけは、2015年のメルカリとの連携が大きかったのでしょうか。

齊藤 泰裕(以下、齊藤) そうですね。当時のメルカリさんはまだ事業を開始して間もなく、取引数が月間数千件程度で、まさにこれから事業を伸ばしていく状況でした。しかし、既にあったネットオークションの登場からその取引数の伸びを見ていると、小さい荷物やCtoC(消費者間の取引)の配送が増えている事実を確認できました。ここには大きな需要があると試算しました。

 また、当時ネットオークションを使用していた人にアンケートを取ったところ、梱包(こんぽう)作業を簡単に済ませたいといった回答が多かったため、そんな商品を作れたら、チャンスになると考え、開発したのが「宅急便コンパクト」や「ネコポス」という小型の荷物を取り扱う商品です。実は小型荷物を扱う商品はそれまでも社内で案が出ては、頓挫するということを繰り返してきましたが、それをついに商品化しました。

 その後、匿名配送も開発しました。匿名配送は、買い手と売り手が互いの個人情報を知ることなく取引ができるプライバシー保護に配慮した仕組みです。これらのサービスや商品開発に携わったことは自分にとってのターニングポイントになりました。

生井 小型荷物の実現に時間がかかったのには、何か理由があったのでしょうか。

齊藤 コストとそのときの市場ニーズがまだ小さかったからではないでしょうか。

 従来の宅配便は、箱の中いっぱいに物を詰め込むように利用する方が多くいらっしゃいました。また通販もテレビショッピングが主流で、規模はまだ大きくありませんでした。しかし、その後ECに関わるCtoC市場が拡大し、ペン1本でも宅配便で送る文化になっています。そのような市場変化の中で、小さい荷物に対応しないと乗り遅れると感じました。

 需要を感じる中で、競合企業が追随してくる3年以内にサービスを作ろうと決めました。今でも「3年後には新しいサービスを作っていく必要がある」と、先を見ながら事業開発を行っています。

わずか数千個の取扱時からメルカリと連携

生井 メルカリが小規模だったときに連携を進める際の判断基準はどのようなところから生まれましたか。

齊藤 正直に言うと「これは、今後成長する」という感覚値で判断したところはあります。

 当社は1日600万個もの荷物を運んでいます。連携を強化し始めた頃のメルカリの荷物は600万個のうちのわずか数千個です。ただ、将来性を見越して、ここは思い切って積極的に連携すべきだと考えました。

齊藤氏は大企業なら小さな失敗をしても、会社の屋台骨は揺らがない。新しいことに挑戦することに消極的になる必要はないと語る

齊藤氏は大企業なら小さな失敗をしても、会社の屋台骨は揺らがない。新しいことに挑戦することに消極的になる必要はないと語る

 もちろん、関係各所にご迷惑をかけないように細心の注意を払いました。大手企業であれば多少の失敗があったとしても会社の屋台骨までは揺らぎません。新しい挑戦をすることに消極的になる必要はないと思います。

 大企業はベンチャー企業に比べて、他の事業でカバーができるのですから、革新的なことをやれるチャンスがあります。仕事をしていると、他のことは置いてでも「これに懸けたい」と思う瞬間は必ず訪れます。そこに経験を積んだミドル層が挑戦するのは必要なことだと思います。

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