[香港 6日 ロイター] - 中国の不動産業界は今年、需要が緩やかに回復しそうだ。不動産市況は昨年大幅に悪化したが、今年は政府のてこ入れ策や「ゼロコロナ」政策の見直しが支えとなり、住宅販売の落ち込みは昨年よりも浅くなるとみられる。
ロイター調査によると今年の不動産販売は市場関係者8人の予想中央値が8%減。昨年は約25%減だった。経済活動、家計所得、消費者信頼感はいずれも下期の回復が見込まれる。
市場関係者は政府が景気対策の一環として年内に住宅ローン金利の引き下げや頭金規制の緩和など住宅需要喚起策を追加で打ち出すと見込んでいる。
政府が昨年12月にゼロコロナ政策を解除したことで年内の景気回復への期待が高まった。
しかしゼロコロナ策の見直しで感染が拡大しており、少なくとも今後数カ月は経済がさらに混乱し、家計は苦しくなる見通しだ。
<好転の兆し>
中国経済の4分の1を占める不動産業界は昨年、手ひどい打撃を受けた。資金繰りが悪化した開発業者は建設を完了できず、買い手の一部が支払いを拒否。広範なロックダウン(封鎖措置)や人員解雇も買い手の心理を悪化させ、昨年11月の不動産投資は前年比19.9%減と2000年の統計開始以来となる大幅な落ち込みを示した。
しかしUBSの首席中国エコノミスト、タオ・ワン氏は「2023年については、不動産政策が引き続き緩和され、コロナ後の経済再開が経済活動と家計所得の回復につながるため、不動産は販売と新規着工の両方が順次回復する」と予想する。
早くも好転の兆しが出ている。中国指数研究院の最近の発表によると、今年は新年3連休の新築住宅販売が前年比で20%余りも増加した。ただ北京や上海など大都市と比べて、ほとんどの小都市は市場心理が低迷したままだという。
<慎重な見方も>
不動産規制緩和などの動きを受けて、不動産開発業者の株価は昨年10月の安値から86%上昇。不動産業者のドル建て高利回り債の指数も11月3日の安値から2倍以上に上げている。
ガベカル・ドラゴノミクスは今年の不動産販売の伸びを5―10%と予想する。
一方シティは、住宅の価格期待や雇用の回復に時間がかかること、新規供給の減少を理由に不動産販売は21%減少すると見込んでいる。
T.ロウのポートフォリオマネジャーのシェルドン・チャン氏は、不動産市況の回復が「市場の織り込み、あるいは潜在的な織り込みよりも後ずれする可能性がある」と指摘。「住宅需要の底打ちは近いかもしれないが、まだそこまでは来ていない」とくぎを刺した。
中国版ベージュブックのチャイナ・ベージュブック(CBB)インターナショナルの調査リポートは「しかし昔の時代に戻ることは忘れるべきだ。不動産業界がどん底から抜け出すだけでも、2023年にかなりの政策支援が必要になる」と、さらに単刀直入な見方を示した。
<債務再編も>
住宅需要は今年緩やかな改善が期待されるものの、道のりは平たんではないと予想されている。依然として過去の行き過ぎが重荷になっているためだ。
不動産開発業者の多くは資金繰りの改善に苦しみ、新規の土地購入や海外債権者への返済に支障をきたしそうだ。
開発業者の多くが昨年、建設用地取引市場から姿を消しており、今年は販売するプロジェクトが減ってキャッシュフローが制約を受ける可能性がある。
さらにリフィニティブのデータによると、今年満期を迎えるオフショア負債は総額1410億ドルで、昨年の1207億ドルを上回る。
ボントベル・アセット・マネジメントのクレジットアナリスト、コスモ・ツァン氏は、この分野で債務再編が進むとみている。「まだ債務不履行(デフォルト)に陥っていなくても、今後数年以内に資本構造を再構築し、持続可能なものにする必要があると思われる企業がまだいくつかある。こうした企業の資本構成は持続不可能だ」とツァン氏は語った。
(Clare Jim記者、Xie Yu記者、Rae Wee記者)
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