JR御茶ノ水駅「御茶ノ水橋口」改札を出て、目の前の明大通りを南に下る。たくさんの楽器店が両側に軒を連ねるその一角に、お目当ての「聖地」、イシバシ楽器御茶ノ水本店はあった。
3月初旬の夕方、私(44)が店内に入ると、狭いスペースに所狭しと並ぶエレキギターが目に飛び込んできた。ガラスケース内に陳列されるエフェクターなどの付属品。フロアに響き渡る客によるギターの試奏音……。楽器店を訪れるのは、10年ぶりぐらいだろうか。バンド活動でギターに熱中していた大学時代、足しげく通った記憶がよみがえってくる。
この店は昨年あるアニメで登場したことで、ファンの聖地になった。
「ぼっち・ざ・ろっく!」――。はまじあきさんの漫画が原作のアニメで、昨年テレビ放送され、話題になった。極度な人見知りの女子高校生ギタリスト「ぼっちちゃん(本名・後藤ひとり)」が、ひょんなことからバンドを組み、その活動を通じて成長を遂げていく。
登場人物が可愛く描かれる、いわゆる「萌え系」作品だが、細部までこだわった躍動感あふれる演奏シーンや、舞台の一つ東京・下北沢のライブカルチャーの独特の空気感、バンド活動のリアルな描写など、随所ににじむ「ロック愛」が、幅広い層の共感を呼んでいるのだ。
「アニメ化の際、劇中で登場する曲をギター演奏し、動画投稿する人が出てくればと期待していましたが、想像以上に目にする機会がありました。本当にうれしい」
原作者のはまじさんも朝日新聞の取材にそう言及しているが、実はいま、アニメの影響で、エレキギター人気が起きているという。
店を訪れたのは、そんな人気を肌で感じようと思ったからだった。
◇
イシバシ楽器御茶ノ水本店は、アニメでぼっちちゃんが2本目のギターを買った場所として登場する。ここなら、アニメや原作漫画に影響を受け、ギターを購入する客と出会えるのでは、と考えたのだが、予想は的中した。
「ぼっち・ざ・ろっく!」はエレキギターの人気に大きな波を起こしました。アニメの魅力とともに、ギタリストの記者が販売数の回復したエレキの今を探りました。
「結束バンド」は若者を一変させた
「アニメを見てはまり、この聖地で買おうと思いました」
北海道北見市内の大学に通う梅村龍聖さん(19)は、この日、ぼっちちゃんが使っていた米楽器大手ギブソン社製のレスポールモデルの、低価格ブランドを購入した。アニメに登場した「聖地」を巡る旅に出ようと、大学の先輩と上京。ギター購入はメインイベントの一つだったという。
昨春大学に入学し、軽音楽部に入部した。当初はバンドを組んで、キーボードをやるつもりだったが、ギタリストが不足しているとの理由で、「しぶしぶギターをやることになった」という。
「もちろんそれまでもギター…
Bagikan Berita Ini
0 Response to "ぼっち・ざ・ろっく!聖地で考えた エレキはまだ終わりじゃない ... - 朝日新聞デジタル"
Post a Comment