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2割減、深刻な空港の人手不足 航空需要回復の足かせに - 日経ビジネスオンライン

空港の人手不足問題を議論する有識者などの検討会が今後の対策案をまとめた。新型コロナウイルス禍で低迷していた航空需要が回復する中、地上業務の人員不足が外国航空会社の復便の妨げとなっている空港もある。状況打開のカギとなるのは訪日需要の喚起に躍起になってきた地方自治体の政策の見直しと、航空大手の系列を超えた現場の効率化だ。

空港での地上業務を担う「グランドハンドリング」や保安検査の人員不足が問題になっている(写真=PIXTA)

空港での地上業務を担う「グランドハンドリング」や保安検査の人員不足が問題になっている(写真=PIXTA)

 「航空業界」というブランドや、現場で働く人の使命感などに甘え、「やりがい」の搾取を続けているような現状は、一刻も早く改善していかなければならない――。

 国土交通省や有識者、航空業界の関係者などでつくる「持続的な発展に向けた空港業務のあり方検討会」は6月1日、中間とりまとめ案を公表した。冒頭のような強い言葉も盛り込まれ、関係者の危機感が強くにじむ内容となった。

コロナ禍前から人員2割減

 今、問題になっているのは、空港での地上業務を担う「グランドハンドリング(グラハン)」や保安検査の人員不足だ。グラハンは旅客ターミナルでの手荷物の預かりや仕分けなどを行う「旅客ハンドリング」と、着陸した航空機の誘導作業、給油、清掃作業などを担う「ランプハンドリング」に分かれる。全日本空輸(ANA)や日本航空(JAL)のグループ会社のほかに、地方では地場企業などもグラハンを手掛け、ANA・JALや海外の航空会社から業務を受託している。保安検査は警備会社が航空会社から個別に受託したり、空港会社を通じて一括で受託したりしている。

 国交省によると、2023年4月の旅客ハンドリングの従業員数は19年3月末と比べて2割ほど減っている。ランプハンドリングも同じ期間におよそ1割、保安検査員は約2割減った。

 コロナ禍の前から、厳しい労働条件などを背景に空港業務は離職者が多かった。早朝や深夜のシフトもあるほか、休憩所が屋外にあるなど環境の悪い職場も多い。国交省の調査では業界全体のグラハン社員のうちおよそ5割を20代以下の人が占め、建設業(男性生産労働者)やトラック運送事業(大型トラック)の約1割と比べて比率が高い。若いうちに職を離れる人が多いことが分かる。平均年齢が低いこともあり、グラハン社員の平均年収は約357万円と、トラック運送事業よりも2割ほど少ない。

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