同協会に加盟する116市場の花き卸(109社)の22年取扱高は、前年比5%増の3645億円。16年に3800億円台を割り、20年の新型コロナウイルス禍も加わり減少の一途だったが、21年に巻き返し、22年は16年に次ぐ水準となった。
けん引したのが切り花だ。外出制限がなくなり、婚礼や葬祭の装飾など業務需要が回復した。コロナ下の巣ごもり生活で定着した家庭需要も前年に続き好調で、家庭に花を飾ることが一過性でなく習慣となった証拠といえる。
単価は出荷量が減った品目が多く、軒並み上昇している。ただ、家庭で人気の花は量を維持しつつ単価も伸び、ガーベラの取扱高は前年比15%増となった。スーパーで扱うパック花束の定番、アルストロメリアも同15%増。消費者に知名度が高いチューリップも同10%増だった。
同協会の福永哲也会長は、取扱高が伸び続ける要因を「コロナ下で若年層を中心に新規顧客を獲得できた」と分析。今後も、若い世代に買いやすい花の提案が重要だ。
一方で課題もある。22年は燃油高による加温控えなどで生産サイクルが乱れて出荷量が減ったため、品薄高となった。農水省の統計でも、22年産の切り花の出荷量は過去最少。作付面積の減少も止まらず、数量減による単価高は一層進むとみられる。
強敵は物価高だ。コスト上昇分の価格転嫁を考えれば、単価高は産地にとって必然だが、日常使いする若い消費者には手頃な価格で買える商品が必要。コロナ下で定着した花の「サブスクリプション(定額購入)」は自宅に届くタイプが多く、ポストに入る花束向きの小さなサイズが求められている。
7月からは花き卸の大田花きと種苗会社のサカタのタネが、サブスク向けのトルコギキョウの栽培規格を開発、本格出荷を始めた。従来は長さ70センチだが、30~60センチと短く、箱に従来の10倍近い本数を詰められ、輸送費を削減できる。手頃な価格と長さで、常に花を飾りたい消費者のニーズに応える狙いがある。
日本農業新聞の消費者調査(23年)でも、必要な花の長さは「20センチ以下」と回答したのは若い世代ほど多く、20、30代は半数以上、全体で4割を占めた。これまでの固定観念を払拭し、時流に合った商品展開を目指そう。
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