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中小企業の海外展開 りそな総研 荒木主席研究員に聞く(下) - 日本海新聞

大阪ニュース

2023年1月19日

 歴史的な円安が進む中で昨年、国は中小企業の海外展開支援を決めたが、世界情勢の変化や為替変動などのリスクもある。「円高になっても耐え得るもの、販路、物流の確保」を海外展開の必要条件と説く、りそな総研の荒木秀之主席研究員に聞いた。

「越境ECを使えば中小企業にも十分チャンスがある」と強調する荒木主席研究員

 −中小企業の海外展開に必要なことは。

 「為替は循環する。今が円安だからと海外で拠点をつくっても、円高に戻る想定もいる。円高に耐え得るビジネスかどうかの判断がまず必要。長期の為替レートをみると120円を超えた時期はまれで、円安前提のビジネスモデルは組み立てにくい。海外でニーズの見込めるもの、円高になっても耐え得るもの、販路、物流の確保が条件。海外に需要があるが出遅れているとか、手つかずのものを支援していく。円安だから海外、円高なら引っ込めるということではない」

 −海外展開に適した分野は。

 「農業分野は難しいと言われていただけに、一つずつ問題をクリアしていけば成長の可能性が出る。日本のものが知られていないことや物流の難しさ、規制もあるが、インバウンド(訪日外国人客)がこれだけ増え、帰国後に消費者として獲得できる可能性は高まっている。家電なども人気が高い」

 −海外展開の手順は。

 「地政学的リスク、為替の変動を考えるとリスクの低い越境EC(電子商取引)などから始めるべきだ。ユーザーの声で商品が生まれる可能性もある。サービス関係はインバウンドでフィールドリサーチをする。その段階で必要な人材が出てくるかもしれない」

 −中小企業の可能性は。

 「ここまでインバウンドに日本が愛されるのはサービスや製品の良さ。(海外に)持っていけば売れるものはまだまだあり、越境ECを使えば中小企業にも十分チャンスがある。一工夫はいるが、自分で店を出すリスクを考えれば大いに活用すべきだ。日本は人口減で市場の大きな拡大は困難。東南アジアはまだまだ人口が増え、経済成長もこれからだ」

大阪ニュース

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