新型コロナの感染拡大で救急搬送が増えるなか、救急の現場などで血圧が急激に低下した患者に使われる薬剤の需要が高まっていて、大阪の医薬品メーカーでは安定的な供給に支障が出るおそれがあるとして出荷量を制限しています。
出荷量が制限されているのは、大阪に本社のある医薬品メーカー、「アルフレッサ ファーマ」が製造、販売する「ノルアドリナリン」です。
この薬剤は、救急医療や集中治療の現場などで患者の血圧が急激に低下した際に投与するもので、メーカーによりますと、新型コロナの感染拡大で救急搬送される患者が急増したことなどに伴い、需要が大幅に増えているということです。
薬剤の生産が追いつかず、すべての受注に対応しきれない状況となっていて、メーカーでは安定的な供給に支障が出るおそれがあるとして、今月(1月)16日から当面、出荷量を制限する「限定出荷」の対応をとっています。
アルフレッサ ファーマは、「速やかに安定供給できる状態に戻せるよう、生産の態勢を整えています。医療関係者や患者の皆さまに多大なご迷惑をおかけすることになり、心よりおわび申し上げます」とコメントしています。
【救急医療の現場では懸念も】
「ノルアドリナリン」の出荷量が制限されていることについて、大阪大学医学部附属病院高度救命救急センターの織田順 センター長は「救急医療や集中治療の現場では頻繁に使われる薬剤で、センターでも入院患者の誰かに常に使っている。制限が長引いて治療に影響しないか心配している」と懸念を示しています。
織田センター長によりますと、「ノルアドリナリン」は感染症による敗血症や心筋梗塞などによって急激に血圧が低下した場合に注射や点滴で投与する薬剤で、新型コロナの重症患者の治療にも使われます。
今のところ、センターには十分な在庫があるということですが、センターではこの薬剤が使えなくなった場合に備え、別の種類の薬を使えないか対応方法を考えています。
織田センター長は、「今は十分な数を準備できているので必要以上に不安視しなくてもよいが、今後、影響が広がらないか心配だ。救急の現場では病床や人手の不足だけでなく、必要な薬にも影響が出始めていることを知ってほしい。私たちは医療現場で全力で治療にあたるので、みなさんにも改めて基本的な感染対策をしっかりとやってもらえたらと思う」と話していました。
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