東京都を中心として周辺地域を含む「東京圏」のことし1月時点の土地の価格は、全体の平均が去年に比べてプラス2.4%と2年連続で上昇しました。
住宅地、商業地とも去年より上昇率が拡大しています。
国土交通省は22日、ことし1月1日時点の土地の価格を調べる「地価公示」の結果を発表しました。
それによりますと、東京を中心として、埼玉、千葉、神奈川、茨城の4県の一部を含む「東京圏」の地価は、住宅地と商業地などを合わせた全体の平均が去年に比べてプラス2.4%となり、2年連続で上昇しました。
このうち、住宅地はプラス2.1%、商業地はプラス3%でいずれも去年より上昇率が拡大しています。
都県別にみると、東京都は住宅地がプラス2.6%、商業地がプラス3.3%となりました。
新型コロナの感染拡大によるリモートワークの普及などでオフィス需要が鈍化し去年はマイナスとなっていた千代田区や中央区、港区の商業地もことしはプラスに転じました。
また千葉県は住宅地がプラス2.3%、商業地がプラス2.9%でした。
なかでも木更津市金田東の住宅地は、都心へのアクセスの良さから、プラス20.9%と、東京圏の住宅地で最も高い上昇率となりました。
神奈川県は住宅地がプラス1.4%、商業地がプラス2.9%でした。
横浜市西区みなとみらいの商業地は、企業やホテルなどの進出が相次ぎプラス13.5%と、東京圏の商業地で最も高い上昇率となりました。
埼玉県は住宅地、商業地ともにプラス1.6%。
さいたま市の10区すべてで住宅地、商業地ともに上昇しました。
地価の上昇が続く東京の都心では、将来的な売却を見込んで、資産性を重視したマンションを購入する動きが広がっています。
東京23区の住宅地の地価はコロナ禍で一時下落したものの、ことし1月時点では、去年に比べてプラス3.4%となっています。
これにあわせて、都心のマンションの需要は根強く価格の高騰も続いています。
東京・品川区にことし8月完成予定の32階建てのタワーマンションはほとんどの部屋の販売価格が1億円を超えていますが、すでに9割以上売れているということです。
人気の理由は、山手線の目黒駅から徒歩10分以内という立地だということで、将来的な売却を見込んで、資産性を重視したマンションを購入する動きが広がっているといいます。
モデルルームを訪れた30代の女性は「ずっと住み続ける予定はないので、物件の資産価値が大事です。立地重視で探しています」と話していました。
また、20代の男性は「勤務地に近いので、生活の負担も減らせると思っています。今後も上り調子が続くことを期待して、売ったときに資産として残るようにしたいです」と話していました。
販売担当を務める西大樹さんは「住まいを買い替える前提で購入する方も増えているので、資産性を重視する声をよく聞きます。以前よりも在宅勤務の頻度が減っている会社も多いので、改めて職場までの近さから都心に住みたいというニーズが高くなっていると感じます」と話していました。
一方、都心のマンション価格が高騰するなか、比較的割安で都心にアクセスがいい周辺エリアに地価の上昇が広がっています。
なかでも、東京圏のうち自治体別の平均が去年に比べて最も上昇したのは、千葉県浦安市でプラス9.7%、次いで千葉県市川市がプラス6.8%、埼玉県戸田市がプラス5.8%となっています。
このうち、浦安市では、海沿いのエリアを中心に新たな住宅地の整備が進み、都内などから移り住む人たちが増えています。
現地に多くの住宅を供給する会社の中田亮平千葉営業部長は「都内に比べると価格も安く住宅も広くなるので、都内から浦安に住まいを求めるファミリー層が多くなっています」と話しています。
おととし、市内におよそ6000万円で、戸建て住宅を購入した40代の夫婦は、3歳と1歳の娘2人と暮らせる家を探していましたが、都心の職場まで40分ほどで通勤できるアクセスのよさなどにひかれたといいます。
夫婦は「都内では買えないけど、浦安なら金額的にも手が届く範囲で、予算と利便性がちょうどいい場所でした。ただ、これ以上待つと、地価も上がって手が出なくなってしまうので、早めに購入しました」と話していました。
埋め立て地の多い浦安市は、東日本大震災の揺れで市内の86%が液状化し、多数の住宅に被害が出て、地価も一時大きく下落しました。
夫婦は、災害時のリスクも考慮して、購入を決めたということで「心配な気持ちもありますが、それでも子育て環境なども整っていて多くの面でよさがある浦安がいいと決断しました」と話していました。
千葉県では、インターネット通販の普及を背景に、交通の利便性が高く人口が増加しているエリアで物流施設の建設が相次ぎ、「工業地」の地価が大幅に上昇しています。
千葉県では「工業地」の地価が東京の都心に近い地域を中心に上昇し、県全体でプラス7.7%と、上昇率は全国の都道府県で3番目に高くなりました。
このうち柏市にある常磐自動車道の柏インターチェンジ近くの工業地の価格は、去年と比べて20%余り上昇しました。
この地域は、千葉市とさいたま市などを結ぶ国道16号線も通っているうえ去年、人口増加率が全国1位だった流山市にも近く、インターネット通販などの配送拠点として大型の物流施設の建設が相次いでいます。
このうち、柏インターチェンジのすぐそばでは、大手商社が機械メーカーの工場があった土地を取得して、ことし5月に大型の物流施設を完成させる予定です。
この施設は4階建てで、延床面積はおよそ8万平方メートルあり、入居するテナントの募集には多くの引き合いがありましたが、施設を丸ごと借りたいという企業の入居が決まっているということです。
住友商事物流施設事業部の小山築さんは「コロナ禍以降、インターネット通販の普及で配送の頻度が増えたので、交通の結節点であることや働き手の確保が見込めることは大きなメリットになる。こうした地域は人気が高まっていて工場が物流施設に置き換わることも珍しくない」と話していました。
茨城県内の住宅地は都内に通勤・通学する住民もいるつくばエクスプレス沿線で地価の上昇率が高い傾向が続いていますが、同じ茨城県内を走る常磐線沿いでも、宅地の供給に加えて大型の商業施設ができたり子育て政策を進めたりしている阿見町の3地点が上昇率の上位30地点に入りました。
茨城県内の地価の上昇率は今回、1位から23位までが県南部のつくばエクスプレスが通るつくばみらい市とつくば市、それに守谷市が占めました。
そこに今回、次の24位に入ったのがJR常磐線の荒川沖駅に近い阿見町うずら野4丁目です。
上昇率は3.6%で、去年の34位から大きく順位を上げました。
阿見町は霞ヶ浦の西側に位置し、町内の住宅地で調査の対象となった13地点のうち6地点で地価が上昇しています。
阿見町ではほかにも荒川本郷が上昇率25位、本郷が28位などとなっています。
調査を行った不動産鑑定士の羽場睦夫さんは「つくば市などつくばエクスプレス沿線では住宅地がかなり値上がりして手が出なくなってきているが、阿見町は区画整理によって優良な宅地が供給されていて、比較的土地が求めやすい。大きなショッピングセンターができたり子育てしやすい環境があったりと生活しやすいという面もあり、今後も土地の需要はあると考えている」と話しています。
茨城県阿見町は、JR常磐線の荒川沖駅周辺を中心に人口が急増しています。
総務省の統計によりますと、去年1年間に阿見町に転入した人の数は転出した人を990人上回り、全国の町と村のなかで最も「転入超過」の人数が多くなっています。
近くに大型の商業施設ができるなど生活環境が向上したり、若い世代の子育てを応援する町の施策が転入超過の背景にあると町はみています。
人口は今月1日時点で4万9743人と町が目指す市への移行のための要件の1つである5万人に迫っています。
町は若い世代をさらに呼び込もうと子育て支援に力を入れていて、18歳までの医療費を所得制限などなく無償にしたほか、地域の病院と連携して病児保育ができる託児所も作りました。
阿見町の千葉繁町長は「区画整理事業と子育て政策の推進を同時に進めたことで子育て世代を中心に他の自治体からの移住につながっていると感じる。今後も時代に合った、将来を見すえた政策を打ち出していきたい」と話していました。
Bagikan Berita Ini
0 Response to "地価公示 東京圏は2年連続上昇 住宅地商業地とも上昇率拡大|NHK ... - nhk.or.jp"
Post a Comment