円安やインフレで値上げが続く高級バッグなどの海外ブランド品。新品が高根の花となり、リユース(再利用)事業者が買い取って販売する中古品の需要が高まっている。だが、需要増に伴ってイミテーション(模倣品)も多く出回るようになり、精巧さのレベルも上がっている。そうした中、店に持ち込まれたブランド品の真贋(しんがん)をAI(人工知能)で判定する取り組みが始まった。AIはリユース市場をさらに活性化させるか。
2つ並んだ「ルイ・ヴィトン」のバッグ。あなたは、どちらが模倣品か見分けられるだろうか。
右のバッグが模倣品だ。見分けるコツは手触りやにおい、縫い目だそうだが、記者には全く分からなかった。まして写真だけで見分けるのは、不可能に近い。
中古品流通大手のコメ兵ホールディングス(HD)は6月14日、2023年度の戦略説明会を行った。石原卓児社長は「以前から精巧な模倣品は出回っていたが、最近はさらにレベルが上がっている」と危機感を表す。同社のリユース店チェーン「KOMEHYO」では、年間170万点以上の商品を取り扱う。海外の高級ブランド品も多く集まる中、20年にAIを活用して持ち込み品の真贋を判定する「AI真贋」を始めた。
AI真贋、判定精度は最大99%
KOMEHYOの鑑定士は買い取り時に、まず持ち込まれた品の「商品情報・型番の特定」、続いて本物かどうかの「真贋チェック」を行う。さらに「状態チェック」をした上で買い取り金額を算出する。このうち、「商品情報・型番の特定」と「真贋チェック」をAIが補助する仕組みだ。
AI真贋では専用のカメラを使って判定する
海外ブランドは歴史が長いものが多く、1つのブランドで数十万点以上の型番があることが少なくない。AI真贋では査定したい商品をタブレット端末で撮影して型番を特定。その後、型番によって異なる真贋チェックのポイントを専用カメラで順番に確認していき、過去の買い取りデータなどを参考にしてAIが模倣品かどうかを診断する。
対象ブランドや商品にもよるが、コメ兵HDによると「判定の精度は最大99%」という。画像をうまく読み込めないなどのケースはあるものの、ほぼ模倣品を見抜けるようだ。
従来の真贋判定では、熟練スタッフの“匠(たくみ)の技”に頼るところが大きかった。だが、十分な経験を積むのに時間がかかり、ノウハウの継承も簡単ではない。AIで型番を特定できるだけでも、時間と労力の削減になる。
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