アクティブ運用ETF(上場投資信託)について、アクサ・インベストメント・マネージャーズ株式会社は今後2~3年で最も急成長する運用商品になる可能性があると見込む。7月7日付の日本語版レポートでは、成長要因として「社会的な責任投資を含むテーマ型ETF」の需要拡大を挙げた。
コンサルティング企業のPwC社は、ETFプロバイダーの10社中7社が、世界のETF運用資産残高が2027年までに最低15兆ドル(約2130兆円)に達すると予想する。「先進的な運用会社」は従来型の株式や債券のETFよりも、イノベーションを目指してアクティブ運用型、テーマ型、およびESG(環境、社会、ガバナンス)関連のETFといった分野への多様化を目指す。アクサIMは、これら3種のETFは近年勢いを増しており、今日の投資家が求めている点に着目する。
ETF運用会社やスポンサーを含む世界の企業幹部を対象に行ったアンケート調査「2027年のETF:新たな可能性の世界」の回答では、今後2~3年に投資家からのアクティブ運用ETFへの著しい需要があると予想していることが明らかになった。特に米国ではアクティブ運用ETFへの純流入額が昨年1020億ドル(約1兆5000億円)に上り、約1.5兆ドル(約212兆円)の純流出額となったアクティブ運用ミューチュアルファンド(オープンエンド型投資信託)と比べて、膨大な違いが生じている。
「ETFにとって、有利な規制条件が世界中でアクティブ運用ETFに対して著しい成長の潜在性を生んでいる。ポートフォリオ・マネージャーが引き続き運用する商品である場合、アクティブ運用ミューチュアルファンドと比べて低いアクティブ運用ETFの管理手数料は、投資家にとって間違いなく魅力的」と同社は見る。
アクティブ運用は知的資本を動員する。知的資本とは、企業の無形資産によって生み出された株主資本の簿価に対する市場価値の超過部分、または知識やノウハウに基づき超過収益力を生み出す能力を指す。このため、アクティブ運用はインデックス運用よりもコストが高くなる可能性がある。しかし、ETFビークルでは名義書換代理人が不要で、決済は自動化され、高い流動性により取引関連コストが削減されるため、即時投資も可能だ。同社は「アクティブ運用ETFが現在成長している理由のひとつはこの自然なコスト効率であり、需要は当分弱まる気配がない」と主張している。
一方、中長期的に成長が期待できるテーマに投資するテーマ型ETFについては、2022年の純流入額は前年比で減少したが、「テーマ型」はETFの世界ではトレンドから外れていない。モーニングスターによると、テーマ型セグメントは23年3月までの12カ月間で23億ユーロの流入があり、厳しい市場環境の中でも底堅い需要があることを示している。
「テーマ型ファンドの需要の高まりは、従来の地理的およびセクターの枠組みが関連性を失ってきていることと、世界的なトレンドやストーリーへの関心が上昇している結果」と同社は分析。一方、「アセットアロケーター(資産配分担当ファンドマネージャー)は、ストーリーを伝え、社会的責任投資などの現代のテーマと結びつくファンドをますます求めるようになっている」として、テーマ型ETFへの需要の高まりを予測する。
欧州は引き続きESG関連ETFの成長におけるリーダーで、ETF運用資産残高の21%以上を占める。同社はこの成長が続くと見込み「欧州の調査回答者の68%が今後2~3年における新商品の半分以上がESGに焦点を当てたものになると予想している」ことを根拠に挙げている。
【参照記事】*1 アクサ・インベストメント・マネージャーズ「AXA Investment Managers launches an ETF platform with a focus on Active Management and Responsible Investment」
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HEDGE GUIDE編集部 ESG投資チーム
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